上写真=南米勢との2連戦に向けて意気込みを語った谷口彰悟(写真◎青山知雄)
率直に、戻って来られてうれしい
センターバックに負傷者が相次ぐこのタイミングで、谷口彰悟が1年ぶりに代表に復帰した。
「率直に、またここに戻って来られてうれしく思います。ケガをしてから苦しい時間は個人的にありましたけど、皆が最終予選を戦っている姿だったりとか、そういったものを見てすごく刺激になっていたし、自分も絶対にこの舞台に戻ってやるという思いで見ていました」
昨年11月に左アキレス腱を断裂する重傷を負った。昨夏、カタールのアルラーヤンからベルギーのシント=トロイデンVVに移籍を果たし、ヨーロッパで戦いをスタートさせた直後の負傷。代表でも最終予選の真っ只中。本人には当然、焦る気持ちがあったはずだが、万全な状態で復帰するためにじっくりリハビリとトレーニングを行なった。
「足の状態も含めて、プレシーズンも含めて悪くない。感覚的にも良くなってきていましたが、試合になると不安が残っているのも事実だったので、チームの監督と相談させてももらい、どのタイミングで90分を戦っていくのかを話しながらやれました。そこはチームもリスペクトしてくれたので非常に感謝しています。試合勘は試合をしながら思い出していくものですが、ここ数試合はメンタル的にもフィジカル的にもフィットしてきている自信はあります」
冨安健洋は長期離脱中で、町田浩樹、伊藤洋輝、高井幸大らに加え、今回の活動直前には板倉滉も負傷により不参加になった。経験豊富な谷口に対する期待は大きい。
「ケガ人が多い状況なので、まずはしっかり治して戻ってきてもらいたいと思いますけど、いるメンバーでしっかり戦っていかないといけない。その中で自分もしっかりリーダーシップをとりながらピッチ内外で存在感を出していけたら」
チームを引き締める役割を果たすとともに、谷口は長らく離れていた代表チームにおいて自身の価値を証明しなくてはならない。今回はケガで主軸が複数人不在だが、だからこそアピールしておく必要がある。
「(ポジション)争いはワールドカップまでついて回るものなので、そこは自分もこだわりながら戦わないといけない。新しくチャンスをもらう選手もいるだろうし、そういう選手がいいプレーをして競争が激しくなるのは日本代表が強くなるために必ず必要なこと。その競争は大歓迎ですが、その競争の中で負けないように存在感を示していきたい」
状況に応じてパスの選択を変えられる谷口のビルドアップ能力は、代表のCB陣の中で特筆すべきものがある。パスの強弱と長短を使い分け、数手先を想像したメッセージを刻んでボールを受け手に送る。今回の南米勢との連戦では日本がボールを握る時間は限られるかもしれない。だからこそ、谷口の存在は重要だろう。
「ラインの統率とか、そういった細かいところはもっとできるなと外から(チームを)見ていて思うことはあった。自分がピッチに立った時はこだわりたい。あとは1対1のバトル、ビルドアップ、強い相手になればなるほど自分たちがボールを握れる時間は減っていくので、それをどれだけ延ばせるかをカタール大会が終わってからトライしてきているので、そこはこだわりながら、自分がやることでこういう効果がもたらせるよというプレーをしたい」
谷口自身が、求められるところをよく理解していた。頼れる男の復帰は、チームにとってポジティブな要素となるだろう。