上写真=クラブでも万能性を示し、定位置をつかんでいる瀬古歩夢(写真◎青山知雄)
3バックの左右、中央すべてでプレー
瀬古歩夢は昨年10月以降、アジア最終予選を戦うチームに加わり、出場時間を伸ばしてきた。11月の中国戦で3バックの右CBとして最終予選で初先発を飾ると、北中米ワールドカップ出場を決めた今年3月のバーレーン戦でも引き続き、右CBで先発。6月のオーストラリア戦は負傷交代した町田浩樹に代わって後半開始から左CBを務め、続くインドネシア戦は3バックの中央で先発フル出場を果たした。そのインドネシア戦後には「守備的なポジションならどこでもできる」と自信を口にしていた。
今シリーズはセンターバックにケガ人が続出している中で行われるため、「どこでもできる」瀬古が果たす役割は大きなものとなりそうだ。今回招集されているDFのうち、現代表でCBとしてプレーしたことがあるのは板倉滉、渡辺剛、荒木隼人、関根大輝、長友佑都、そして瀬古の6人。そのうち最終予選以降、3バックのすべてのポジションでプレーしているのは瀬古だけである。
いつ、どのポジションで出番が来てもいいように本人は準備を進めているが、左CBは安藤智哉がケガで不参加となったために手薄であり、6日のメキシコ戦は瀬古が務める可能性が高い。
「ボールを持たれる展開、アジア予選と比べたら増えると思いますし、その中で自分たちがゼロで抑えられることができれば、やっぱり自信にもなる。そこはディフェンス陣で意識してやっていきたいと思っています」
瀬古はすでに強豪国との対戦に向けて、やるべきことをしっかり整理していた。
今夏加入したル・アーヴル(フランス)では2試合にCBとして先発。代表合流直前のニース戦ではアンカーも務めた。
「自分自身は与えられたポジションでやるのがいいかなと。もちろん、今まで主戦場はセンターバックでやってきた中で、アンカーでも出場していますけど、その辺は別になんなりとこなせるような選手の方が、いいかなと思っています。チームにもプラスになっていると思います」
「どこでもできる」の言葉通り、新天地でも万能性を見せている。そもそも3年半プレーしたスイスのグラスホッパーから移籍したのはワールドカップを見据えたステップアップ。このまま5大リーグのクラブで先発に定着し、プレーの幅を見せることができれば、自ずと本大会のメンバー入りに近づくはずだ。
「ワールドカップはもう1年切っていますし、ただただ自分がこのサバイバルに残るために、チームのために、しっかり働けばいいかなと思っています」
『瀬古がいれば、安心』。今シリーズで見る者にそんな感情を抱かせることができれば、「しっかり働いた」ことになる。