システムを柔軟に使い分けるスタイル
2014年8月から15年2月まで短期間ながら日本代表を率いたアギーレ監督(写真◎Getty Images)
アギーレ監督率いるメキシコ代表は4-2-3-1をベースとしながら、試合によって4-3-3や4-4-2、3-4-3といった複数のシステムを柔軟に使い分ける。コンパクトなミドルブロックで構えるソリッドな守備をベースに、ボールを奪ったらサイドの推進力を生かした速攻という基本戦術はどのシステムでもさほど変わらないが、W杯本大会での生き残りを目指すのであれば、戦術理解力の高さが求められそうだ。
そんな中で不動と言えるのは、キャプテンであり中盤の要でもあるエドソン・アルバレスや、センターバックのセサル・モンテス、東京五輪の3位決定戦で日本からゴールを奪った左ウイングのアレクシス・ベガ、そしてギジェルモ・オチョアに代わって正守護神に定着したルイス・マラゴンくらいか。
決定力不足が指摘されるストライカー陣の中ではベテランのラウル・ヒメネスが競争を一歩リードしているが、フェイエノールト時代に上田綺世のライバルだったサンティアゴ・ヒメネスも台頭しており、両者を併用するプランもある。また、クラブW杯で浦和レッズから2得点を奪ったヘルマン・ベルテラメも虎視眈々とポジション奪取のチャンスをうかがっており、今回の日本代表戦や続く韓国代表戦でのプレー次第では競争がさらに激しくなっていくだろう。
負傷が癒えて完全復活を遂げつつあるイルヴィング・ロサーノや、国内組合宿でのパフォーマンスを評価されて招集されたディエゴ・ライネスなど、久しぶりの代表復帰を果たした実力者たちもアピールに燃えているはずだ。
日本代表がそうであるように、W杯本大会まで1年を切ったことでメキシコ代表でもサバイバルレースが本格化していく。自国開催の大会で目指すのは、過去最高成績であるベスト8以上だ。そのための重要な一歩となる親善試合でアギーレ監督がどんなシステムを使い、どんな先発メンバーを選んでくるか注目したい。
文◎舩木渉
ゴールドカップ決勝で同点に追いつくゴールを左足で突き刺したラウル・ヒメネス(写真◎Getty Images)