上写真=3日目のトレーニングで汗を流す三笘薫(写真◎青山知雄)
合宿3日目は「全部やっています」
今回のアメリカ遠征は1日に合宿がスタートしたが、三笘薫は初日は別メニュー、2日目もウォーミングアップ後に全体練習から外れ、調整に努めた。3日目のこの日は冒頭15分のみの公開で、以降は非公開になったため、どんな練習が行われたのかわからなかったものの、練習スタート時から右ヒザ下にテーピングを巻いていたことから、その状態が心配された。
メキシコ戦まであと3日。練習後に取材に応じた三笘には、当然ながら状態に関する質問が飛んだ。
「いや大丈夫です、大丈夫です」
テーピングしているのは?
「ああ、元々です、これは。大丈夫です」
今日は全メニューをこなしたのか?
「全部やっています」
全体練習終了には、ひとりダッシュを繰り返す三笘の姿があった。インターナショナルマッチウィーク期間に試合を実施する場合、通常は木曜日に初戦が行われるケースが多い。しかし、今回は金曜日。準備に1日猶予があることが三笘にとってはプラスに働くかもしれない。
6日に対戦するメキシコは、三笘にとって因縁浅からぬ相手だ。東京オリンピックの3位決定戦では1−3で敗れた。あの試合で三笘が中山雄太に代わって62分から登場。3点のビハインドを背負う難しい場面でピッチに入ったが、78分に鋭い切り返しで相手守備者を抜き去り、ニアサイドへ豪快なシュートを蹴り込んだ。一矢報いる一発を刻んでいる。
それでも悔しい試合になったのは間違いない。当時対戦したメンバーは今回のメキシコ代表にも数多く名を連ねる。
「かなりクオリティーの高い選手が多いですし、オリンピックでやった選手も残っています。プレミアリーグでプレーしている選手だったり、セリエAでプレーしている選手だったり、いろんなクオリティーの高い選手が多い。まあでも、僕らも負けていないと思いますし、しっかりと正々堂々戦えればなと思います」
メキシコのFIFAランキングは現在13位。17位の日本よりも上位に位置する。
「(五輪のときとは)全く別のチームだと思う。自分たちの戦い方も、いま自分たちが目標としているところも違うと思いますし、そこはしっかりと、イメージはありますけど、全く違うチームだと思ってやるべきかなと思います」
強豪であることに変わりないものの、過去に敗れた相手とは別のチーム。それは日本も同じで、現在の力をそのままぶつければいい。「正々堂々」という言葉から、今回の試合に臨む姿勢と意味が感じられる。
「アジアよりもボールを持てるかはわからないですけど、そこにチャレンジすることも大事だと思いますし、でもしっかりと引いて戦うときも必要ですし、それは自分たちが意図的であれば問題ないかなと思います。それが相手の工夫によって覆されようとも、そこをしっかりとまた自分たちが上回れるようにしたい」
アジア勢以外との久々の対戦、しかもランキング上位国との一戦は、日本の立ち位置を知る上で極めて重要な意味を持つ。
「ボールを握れる相手と握れない相手がいて、守備の時間が多ければ、そこからチャンスをどれだけ作れるかですし、ボールを持てるのであれば自分たちが動いて作り出さないといけない。もちろんブライトンでやっていることも生かせると思いますけど、監督やコーチがやりたいことも全く違いますし、そこをしっかりと出すことの方が大事なので。このチームの連係というかコミュニケーションもしやすい中で、ピッチ内で解決できることも多いかなとは思います」
メキシコ戦は日本時間7日、午前11時にキックオフ。日本は「意図的」な戦いを見せられるか。その中で三笘はどんな役割を担うのか。注目される。