上写真＝荒木隼人は3バックのセンターに入り、終盤には4バックも操った（写真◎Getty Images）
■2025年7月8日 E-1選手権（＠龍仁）
日本 6-1 香港
得点:（日）ジャーメイン良4、稲垣祥、中村草太
（香）マット・オア
「いつも遠いから」
スコアは5-0と進んで迎えた59分、日本から見て右のCKから香港にまさかのゴールを許してしまった。セットプレーにおいては実力の差がリセットされてしまう。教訓として残されたとすれば、その恐ろしさだろう。
センターバックの荒木隼人は「失点のところは自分の責任だと思ってます。まだまだ改善していくところはある」と認める。
香港はファーサイドに選手を集めて密集を作り、ボールが蹴られた瞬間に散り散りになる作戦。荒木はまさにその密集の中にいたが、頭上を越えた背中側でフリーになっていたマット・オアにヘッドで押し込まれている。
難しさもあった。まずは日程。この試合に至るまでが慌ただしく、荒木自身も岡山でリーグ戦にフル出場したあと、韓国に飛んで中2日でまたフル出場という強行スケジュールになった。
ただ、「そこに関しては正直問題ないです」と涼しい顔。「僕らはよく連戦していますし、広島からアウェーはいつも遠いですから」
ホームタウンから、例えばカシマスタジアムまでなら直線距離でもおよそ765キロ。今回は岡山からの計測でもスタジアムのある韓国の京畿道龍仁市まで約670キロだ。
もう一つがチーム作り。Jクラブ所属の選手で組んだ今回のチームはトレーニングの機会も限られた。荒木自身も日本代表としてこの日が2キャップ目で、この日は3バックの中央に入り、右に代表デビューの安藤智哉、左に古賀太陽と組んだ。77分からは4バックに移行して、安藤と中央を締めた。
「普段から一緒に試合をしたり、Jリーグの試合でもよく見ていて、お互いの特徴は分かっていたので、そこまで苦労してはいないかな。もっともっとコミュニケーションを取って、連係を上げていきたいと思ってます」
ただ、4ゴールを挙げたジャーメイン良、ボランチの川辺駿、アディショナルタイムにチームの6点目を決めた中村草太は広島のチームメートで、ボランチの稲垣祥も元広島。彼らとの経験も生かすことができた。それに、点差が開いたこともあって、シビアなシーンはほとんどなかった。
でも、だからこそ悔やまれるのがあの失点のシーン。
「マークは僕のところだったんですけど、一つ手前で代わって入ってきた選手のところで、ちょっとマークについているようなついていないような部分もあって、それで一瞬気を取られたときにブロックをかけられてしまった。セットプレーのところはもっともっと集中力を上げないといけない」
コンビネーションが熟成できていないからこそ、ピッチの上での集中力が試される。それに、荒木といえば逆に、こちらの攻撃のセットプレーでは高い打点でヘッドを突き刺すのが自慢だ。
ここでやられた分は、中国戦と韓国戦で逆に決めてみせればいい。