韓国で行われている「EAFF E-1選手権」で7月8日、日本は初戦で香港と対戦して6-1で勝利を収めた。川崎フロンターレから選ばれた山田新は、アカデミーの同期の宮代大聖、後輩の大関友翔と代表にピッチで共闘したことを喜んだ。

■2025年7月8日 E-1選手権(@龍仁)
日本 6-1 香港
得点:(日)ジャーメイン良4、稲垣祥、中村草太
   (香)マット・オア

「競争は始まっている」

 川崎フロンターレの「重戦車FW」山田新が日本代表デビューを飾ったのは、後半開始からだった。柏レイソルの垣田裕暉に代わってピッチへ。そのまま試合終了までの45分間、プレーした。

 相手へのリスペクトは持ちつつも、試合はイージーモード。前半だけでジャーメイン良が4得点、稲垣祥も決めて5-0でリードした状況で、出番が回ってきた。

 結論から言えば、後半に生まれたゴールは1点だけで、アディショナルタイム4分に中村草太が決めたもの。だから、山田の喜びも少しだけだった。

「ここからだなという思いで入りましたし、点を取れなかったので悔しいデビューになりました。アジアの戦いでこういう試合は想定されるので、もっとやらないといけないと感じました。今後、ワールドカップを戦う上では別の戦いになってくると思うので、そういうことも想定して代表活動に取り組んでいかないといけないと思いました」

 Jリーグに所属するメンバーだけで組んだ代表で、トレーニングもほとんどこなしていない。ぶっつけ本番だが、「それは言い訳にせずに合わせていかないと」と自戒を込める。

「押し込んだ中での味方との連係はなかなか出せなかったですけど、通っていれば自分の決定機になるような場面もありましたし、よりチャンスを増やすために距離感やシャドーの選手とのつながりを意識しないといけない」

 一方で、喜びも噛み締めた。先発した宮代大聖は川崎フロンターレのアカデミーで同期で、63分から入った大関友翔は4学年後輩。「フロンターレオリジン」の3人が、日本代表のピッチで共演を果たしたのだ。

 宮代はヴィッセル神戸に移籍してしまったから、次は代表で一緒にプレーしたかったという願いを口にしてきた。それがかなった喜びもありながら、同期だからこそのライバル心もむき出しにする。

「2人で出られたこと自体は感慨深いですけど、競争も始まっていますし、お互いに得点できなかったので、競争しながら自分ができることをやれればいいと思います」

「彼はずっと年代別の代表に入っていたので、自分も入りたい思いが強かったです。今日は勝ったことはよかったですけど、2人でチャンスを作れればよかったですし、ゴールを決めたかった」

 大関はいまでも川崎Fでともに戦う仲。成長著しい中盤の新星に対しても、あえて冗談交じりの辛口だ。

「あとから大関も入ってきましたし、うれしかったですね。1本、僕に通せるパスをずらしたので、厳しく言っておきました(笑)」

 ゴールに絡めなかった悔しさと、「仲間」と日本代表のユニフォームを着て共闘できる喜びと。山田の祝福すべき代表デビューには、そんな感情が交差することになった。