上写真=先発で代表デビューを飾り、63分までプレーした久保藤次郎(写真◎Getty Images)
アピールしたい気持ちが先走った
先発で代表デビューを飾った久保藤次郎の試合終了後の第一声は、意外なものだった。
「個人的には結構、ほろ苦いデビュー戦になったというか、アピールしたい気持ちがちょっと先走ってしまって。なかなか良い判断だったり、うまく力が抜けずに結構堅いプレーになっちゃったかなっていう感想です」
日本がボールを握る展開だったため、右ウイングバックの久保が仕掛ける場面が何度もあった。しかし、守備に軸足を置く相手を崩しきれないシーンも散見。だから反省の言葉を紡いだ。
「やっぱり縦に行ってクロスあげる、そういうアピールしたかったので、結構意識してはやっていたんですけど。本当に仕掛ける場面だったのかとか、もうちょっとやり直したりしてもいいんじゃないかとか、迷いながら仕掛けていたので。コーナー(キック)にはできていましたけど、抜ききってクロスをあげるとか、そういうところは不完全燃焼だったと思います」
26分のジャーメイン良の4点目のゴールは久保がアシストしたものだった。相馬勇紀からのサイドチェンジを受けると、対峙するDFをかわしてボックス内に進入。低く鋭いクロスを送ってゴールをお膳立てした。しかし、その1度だけでは満足できなかった。
「(先発で代表デビューできたことについて)うれしかったですし、(途中出場よりは)準備もしやすかったですし、よかったですけど、だからこそもっと良いプレーがしたかった」
1アシストという数字を残しただけでは満足できない。目指すのは及第点のプレーではなく、満点のプレー。そうでなければ、先がないことを久保は知っている。
「(所属)チームと違って即席なので、なかなかレイソルみたいにコンビネーションとかは難しいと改めて思いましたし、だからこそ、その中で、どれだけ出していけるか。もっともっと突き詰めていかないといけない」
E-1選手権の次戦は12日の中国戦、そして15日には韓国戦がある。
「落ち込んでる暇もないんで、すぐ切り替えて。次、どういう形で使ってもらえるかわかんないですけど、そこはほんと切り替えて自分のプレーを出していければ」
自己評価では、ほろ苦いデビュー戦。2キャップ目を刻む次の試合こそは100パーセントを表現すると、久保は誓った。
取材◎佐藤景(現地)