サッカー日本代表は5日、北中米ワールドカップ・アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦し、0−1で敗れた。3バックの中央で代表では5年半ぶりに先発した渡辺剛は70分に負傷で退くまで安定したプレーを披露したが、チームを勝利に導けなかったことを悔やんだ。

上写真=3バックの中央で先発出場した渡辺剛(写真◎Getty Images)

「目に見える結果を取ってこそアピールだった」

 アジアカップのインドネシア戦以来、約1年4ヶ月ぶりとなる代表のピッチだった。渡辺は3バックの中央で先発し、持ち前の強さを発揮。高さで劣勢になることはなく、49分にはGK谷晃生のパスミスで迎えたピンチもボレロのクロスを渡辺がゴール前で足を伸ばしてクリアして救った。

「ずっと日本代表を目指して準備してきて、今までの日本代表での試合だったら、ちょっと受け身じゃないですけど、緊張して萎縮する部分は少なからずあったと思う。でも今回は自信を持って緊張もせず、自分のプレーをやろうと思ってうまく入れたし、発揮できた部分は今までに比べたら多かった」

 その言葉通り守備陣を引き締め、攻撃の一歩となるべくプレーした。前半に縦パスを相手に食われたシーンもあったが、果敢にパスを打ち込んで攻め筋を作ろうとした結果で、安易なミスではなかった。

 2022年1月にFC東京からベルギーのコルトレイクに渡り、研さんを積んだ。2シーズン目はリーグのフィールドプレーヤーで唯一、全試合フルタイム出場。タックル数やインターセプト数などDFとして1位の数字を残した。2023ー24シーズンからプレーするヘントでも安定感抜群のプレーを披露。今季はクラブの年間MVPに選出された。

 果たして渡辺は代表に返り咲き、その力をピッチで示してみせた。

「自分としてはまず失点しないというところと、試合展開的にも相手がワンターゲットにラフに入れて、そこから起点を作ってっていうのは予想できてたんで、そこでしっかり作らせないっていう部分では意識しながらうまく対応できたし、自分のストロングをうまく出せたとは思います」

 惜しまれるのは70分に負傷で渡辺が交代した後に、チームが失点したことだ。

「とにかく悔しいです。自分もそうですし、他の選手もそうだけど、チャンスを与えられた選手がここでしっかり目に見える結果を取ってこそアピールだと思っていたので。負けなしの中、負けてしまったというのは、やっぱりまだまだチーム全体、自分も含めて足りない部分が多い。そのことを改めて感じさせられた試合だし、一人ひとりがもっともっと成長して、今のA代表を脅かす存在になっていかないと。そうしないと日本代表はもっと強くならない」

 個人としては持ち味を見せたものの、最後までピッチに立てず、チームの勝利に貢献できなかったことを悔やんだ。しっかり結果を出して、代表のコアメンバーを脅かすことを自らに課していたからだ。

「これで終わるんじゃなくて、もっともっと自分を磨けばチャンスはあるという感じはします」

 次こそはチームを勝利に導く。

 渡辺はいっそう自身を高め、継続して代表で戦うと誓った。

取材◎佐藤景