サッカー日本代表は5日、アジア最終予選第9節でオーストラリア代表と対戦する(20時10分開始/@パーススタジアム)。昨年10月の対戦は1-1のドローに終わったが、あれから約半年でオーストラリア代表はどのような変化を遂げているのか? 北中米ワールドカップの自動出場権獲得を目指す対戦相手オーストラリア代表の現状に迫る。

オーストラリアもベストメンバーではない

前日会見に登壇したポポヴィッチ監督とキャメロン・バージェス(写真◎Getty Images)

 それでもできる限りの準備は積み重ねてきた。2009年以来一度も勝てていない日本代表との対戦に向け、オーストラリア代表は5月16日からUAEのアブダビで候補合宿を実施。約2週間かけて選手選考を進めるとともに、代表選手としての意識や戦術理解の向上に努めてきた。

 GKマシュー・ライアンが「長い合宿だったが、それだけの価値があった」と語ったのをはじめ、多くの選手がアブダビでの成果に手応えを感じており、異例の長期合宿がチームスピリットの醸成に一役買ったようだ。

 かつて横浜F・マリノスでもプレーしたミロシュ・デゲネク(バチュカ・トポラ)が「これまでW杯予選を経験したことのない選手たちや、候補合宿には参加したもののW杯予選を経験したことのない選手たちと何度も話し合いを重ねてきた。W杯本大会に進むのは決して楽ではないし、簡単な試合などないと何度も繰り返し強調されているし、選手たちも状況を理解している」と話したように、招集歴の浅い若手選手たちにオーストラリア代表選手としてのあり方を教え込むこともできたという。

 昨年10月にポポヴィッチ体制がスタートしてから6試合で3勝3分と無敗を継続し、機器的な立場からW杯自動出場権獲得が見えるところまで巻き返してきたことで自信は深まっている。3-4-3のシステムが定着し、若手の台頭によりチーム内の競争力も高まっている。

 主力に負傷者が多くとも侮るべからず。プレミアリーグの舞台でも活躍し、地元パースで1年ぶりの凱旋試合に心躍らせるキャメロン・バージェス(イプスウィッチ)は「オーストラリアにとって6大会連続のW杯出場が何を意味するかは分かっており、僕たちは力強いパフォーマンスで締めくくる決意でいる」と言った。選手たちが日本代表戦にかける想いは、かつてなく強い。

 一方、6月シリーズの活動開始にあたって「最強になるためには、最強のチームに勝たなければならない。そして、彼らは明らかに最強だ」とコメントしていたポポヴィッチ監督は、全ての準備を終えた試合前日の記者会見で「いつか勝つなら、明日そのチャンスをつかみたい。この試合が我々にとって、そしてオーストラリアにとって何を意味するかは、しっかりと理解している」と勝利への自信を口にした。就任してから負けのない指揮官にとっても真価が試される90分間だ。

 オーストラリア代表は、大陸間プレーオフまで追い込まれてペルー代表とのPK戦の末に辛くも出場権をつかんだ前回大会と同じ轍は踏むまいと日本代表に襲いかかってくるだろう。ホームの大観衆を背にモチベーション全開でぶつかってくる“サッカルーズ”の底力をどう受け止め、上回っていくかは、新戦力の多い日本代表にとっても今後に向けた重要な指標となるはずだ。

文◎舩木渉