上写真=62分にベンチに下がるまで攻守両面でチームに貢献した三笘薫(写真◎Getty Images)
裏で受けて、しっかり通す
序盤は対峙する相手の右ウイングバックに対応してたびたび自陣深く戻ることになったが、徐々にペースを握った。三笘が優位な状況になれば、チームのチャンスが広がる。
鎌田大地のスルーパスをライン裏に飛び出して受けると、逆サイドから走り込む南野拓実に鋭いクロスを供給してチームの2点目をアシスト。大歓声をバックに勢いをもって戦うインドネシアに大きなダメージを与えた。
後半途中からはシャドーの位置にポジションを移し、敵守備網の間に入り込んでインドネシアの攻め気を削いだ。62分に伊東純也にバトンを渡し、ピッチを退いたが、求められる役割をきっちり果たし、4−0の勝利に貢献した。
ただ、本人は大勝にも反省を忘れなかった。
「何回かやられて失点してもおかしくないところがあったので、そこは改善しないといけない。最後のところでGKを含めて何とか頑張ってくれたというのがありました。ああいうシーンを作らせないことが大事なので、そこは反省しなければいけないと思います。1点目もそうですし、2点目もそうですし、形としては素晴らしい形で得点できていて、そこは再現性が上がっているけど、やっぱり守備のところをもっとこだわっていかないと、次の試合もより難しくなると思います」
守備面の改善点を口に気を引き締めた。課題をしっかり認識し、克服に努める姿勢は今のチームに共通する部分だが、とりわけ三笘は常に向上するべく取り組んできた。その成果が圧倒的なパフォーマンスの下地になってもいるのだろう。
「前からいきたい選手と後ろで構えたい選手がいて、ちょっと間延びしたところがあった。それは前半からありましたけど、後半ももうちょっとブロックを敷くのか、前から行くのかという共通意識が、まだ甘かったところがある」
「今日も4-0のようなスコアにならない展開にもなりえたし、もっと謙虚に戦わないといけない。スコアだけを見れば、そういう風(=力の差と層の厚さ)に思ってくれる人もいますけど、僕らにはまだまだ甘いところがあるので、そこを改善しないといけないと思っています」
試合は無失点で終えたものの、守備面の課題を口にした。こうした飽くなき向上心が、チームと自身を高みへと導いていくに違いない。
「(最終予選4勝1分けは)素晴らしい成績だと思いますし、(前回)ホームで引き分けましたけど、リバウンドメンタリティのところでアウェーで今回も勝ちましたし、次も勝てればより2位を離せると思うので、次の試合も重要になる。中3日なので、しっかりリカバリーしたい」
試合後は大勝に浮かれることなく、19日に行われる中国戦へ目を向けていた。ミックスゾーンで聞かれたのは、三笘が三笘である理由を改めて知るような、そんな言葉の数々だった。