日本代表は15日、北中米ワールドカップ・アジア最終予選の5節でインドネシア代表と対戦。敵地で4−0で勝利を飾ったが、前半開始早々に鈴木彩艶が見せたビックプレーが大勝を導いたと言っていいかもしれない。日本の守護神は、それほどに価値ある仕事をやってのけた。

上写真=ビッグプレーでゴールを阻止し、チームを救ったGK鈴木彩艶(写真◎Getty Images)

見事な反応でシュートをストップ

 日本を救うビッグプレーだった。9分。ハイェから出された縦一本のパスを処理しようと前に出た板倉滉がオラットマングーンと入れ替わられて、独走を許してしまう。

 鈴木彩艶は両腕を下げ、シュートコースを限定しながら少しずつ距離を詰めていく。おそらくその動きが視界に入ったのだろう。オラットマグーンは右足で左側にボールを動かし、すぐさま左足を振り抜いた。

「慌てずに対応できた。相手がドリブルで運んできて、自分の間合いで詰められたので。最後、カットインで内側に運んだ瞬間に『取れるな』という感覚があった」 

 その言葉どおり、鈴木は冷静だった。眼前の敵がシュートコースを作り出すべくボールをずらした瞬間、しっかり反応。右足を出してシュートを見事にストップしてみせた。

「相手がどうするだろうという予測のところで、考えすぎないようにはしていた。そこまでイメージはしてないけど、イタリアでもあのようなシーンで遠目からシュートを打たれて失点するシーンがあったので、自分としてはうまく間合いを詰められたらチャンスになると。うまくできてよかった」

 イタリアのパルマで積み上げてきたものが、日本代表でもしっかり生きた。序盤は守備陣のミスから何度かピンチを迎えており、この場面で先制点を奪われていたら、試合はまた違う展開になっていたかもしれない。

 とくに前半は激しく雨が振り、深い芝とボールの違いもあって守備陣は何度も難しいプレーを強いられた。だが、最後尾には鈴木が構えていた。やがてチームは冷静さと安定感をピッチで表現し始め、最後は無失点勝利を飾った。最終予選5試合で、実に4試合目となるクリーンシートを達成したのだ。

 3バックの中央を務めてきた谷口彰悟をケガで欠き、守備面を心配する声もあったが、代わって先発した橋岡大樹が奮闘し(右でプレー)、鈴木が好守でチームを引き締めた。

 この日の鈴木は文字通り、勝利の立役者だった。