体調不良で遠藤航が前日練習を欠場し、15日のオーストラリア戦は同じボランチである田中碧の先発が濃厚となっている。アジア最終予選4連勝がかかる一戦に向けて田中が思いを語った。

上写真=オーストラリア戦で先発が予想される田中碧(写真◎佐藤景)

3年前の圧倒的パフォーマンスを!

 体調不良のため、不動のボランチでありキャプテンの遠藤航が前日練習に参加しなかった。試合の出場が危ぶまれる中、注目の存在となったのが田中碧だ。

 1勝2敗と苦しいスタートとなった前回の最終予選、日本はホームで迎えた4戦目のオーストラリア戦に2−1と快勝(2021年10月12日)。その試合で先制点をスコアしたのが、予選初先発の田中だった。

「あのときとはまた違う感情であるのは事実ですし、あのときは右も左も分からないままがむしゃらにやって、周りに助けられてサッカーをしていた部分もあった。いまはまた違う。昔のことはそんなに考えずにやれるべきことをやれればと思います」

 あの試合、田中は縦横無尽に動き回った。4−3−3の右インサイドハーフを務めたが、最終ラインに落ちてビルドアップに加わったかと思えば、前線にも積極的に絡んで攻撃に厚みを加えた。負ければ、W杯出場が難しくなる大一番で圧倒的な存在感を示し、チームを救う立役者となった。試合終盤はハードワークし続けたためにスタミナ切れとなったが、以降、代表でも欠かせない存在となっていった。

 その後、カタールW杯も経験し、スペイン戦ではゴールも記録した。今夏、3シーズン過ごしたドイツ2部のフォルトゥナ・デュッセルドルフからイングランド2部のリーズ・ユナイテッドに移籍。環境を変え、さらなる飛躍を目指している。そんなタイミングで迎える今回の試合。日本はキャプテンの遠藤を欠いて臨むことになるかもしれない。同じボランチのポジションを務める田中に期待されるのは、再びオーストラリア戦で勝利の使者となることだ。

「5枚が並んでいる相手は簡単ではない。自分たちが守備をしていてもそう思うし、基本的に5枚を並べていれば守備は堅いと思う。その中でいかにサイドから攻略するかが大事だけど、ただ単にサイド、サイドといっても、中を見せないとやっぱりサイドも詰まると思う。だから中央を攻めることも大事。サイドにスペースを与えて、そこでいかに勝つか、そしてトランジションの部分がキーになると思うので、押し込んで(ボールを)獲られたあともそうだし、セカンドボールや球際などトランジションからチャンスが生まれることが多いのかなと思うので、そこはキーになると思う。(相手が)5枚であるなら、よりトランジションでカウンターから陣形が崩れているところを刺せるかどうかがキーになる」

 オーストラリア攻略のイメージもすでにインプット済み。自身に巡ってきたチャンスを逃さず、チームの勝利に貢献する準備を整えている。

「試合に出られない悔しさは代表だろうがチームだろうがあるのは事実ですけど、ここに来ることと、このチームが勝つことが何よりも大事。現時点で試合に出られないことへの悔しさはあっても、チームは勝っているので、それがすごく大事なことだと思います。自分がスタートで出ようが、途中から出ようが、出れなかろうが、誰かと比べる感じではとらえていない。自分がもっとよくなればチャンスは増えるだろうし、チームが勝つために与えられた役割を全うすることが大事。試合に出たら出たでチームが勝つためにやるべきことをやることが大事。自分が持っているものを出せればいいと思っています」

「そういうもの(=選手の欠場)はチームスポーツである以上あると思うので、ケガもそうですし、チームの総合力が問われると思うので、チームとしてまた違うことをやっていかないといけないと思います」

 誰かの代わりではなく、最終予選4連勝を実現するために、ただ日本に勝利をもたらすために、田中はピッチに立つ。

取材◎佐藤景