日本代表は14日、埼玉スタジアム2002でオーストラリア戦(15日・19時35分開始)に向けた前日練習を行った。体調不良のためキャプテンの遠藤航が不在で、当日の出場は微妙となったが、日本が高めてきたチーム力を示す機会と言えるかもしれない。前日会見に登壇した守田英正は「チーム力は今が一番いい」と言った。

上写真=森保監督とともに前日会見に登壇した守田英正(写真◎佐藤景)

アジアカップ以降、悩んだし見つめ直した

 2021年10月12日。今から3年前のオーストラリア戦。1勝2敗と負けが先行する苦しい状況で迎えた試合で守田は先発し、躍動した。

 日本はスタートから4−3−3を採用。左インサイドハーフとして出場すると、ともに先発した右インサイドハーフの田中碧、アンカーの遠藤航とともに逆三角形の中盤を形成。ボールを握り、ゲームを支配してみせる。

 試合は田中と浅野のゴールによって2−1の勝利に終わった。そこから日本がV字回復したのは周知のとおりだ。6連勝を飾り、7大会連続7度目の本大会行きを決めた。

 守田自身は1失点のきっかけになるFKを相手に与えることにもなったが、それは最終ラインのスライドが間に合わない中で、前に出て相手をつかまえにいっていた守田がピンチを察し、必死に戻った結果だった。勢い余って犯したファールが失点につながってしまった。

 あれから3年が経ち、日本のレベルは格段に上がった。最終予選は3連勝。いずれも複数得点で無失点。前回予選とは異なり、他を寄せ付けない強さを見せている。守田が守備の綻びを埋めるために、必死に戻るケースも減っている。

 体調不良で前日練習を欠席した遠藤航に代わり、森保一監督の指名を受けて前日会見に登壇した守田は言った。

「明日の試合に限った話じゃないんですけど、攻守ではまず先制点が試合のキーポイントになると思います。サウジアラビア戦も2―0という形で終えましたけど、自分たちの時間ではない、そういった時でも守り切って0に抑えたことが勝ち試合にもっていけたポイントだと思います。あとは、セットプレーのところ。次の試合はサウジアラビアよりも(背の)高い選手が本当に多くて、そういうエアバトルの部分だったり、セットプレーが一つ、キーになると思うので、そういったところで負けないように準備してきました。まったく違った戦いになると思うし、先制されないで、こっちが先制できればよりホームの利が得られるのかなと思います」

 前回予選では苦しんだ日本だが、今回ここまで3連勝。チームの成長を感じさせる成績を残す。その要因の一つとなっているのが、選手個々のレベルアップだろう。多くの選手がヨーロッパでプレーし、主軸を担う。守田自身もサンタククラから名門スポルティング(ポルトガル)に移籍。今季ここまで8戦無敗で首位に立つチームで堂々たるプレーを見せている。

「(今年1月の)アジアカップの時に比べて僕が思うのは、この代表は森保さんを中心としてスタートしていて、本当に高いレベルで要求し合える関係になってきたなっていうことです。チーム内のルールや秩序は大前提としてある中で、個々のキャラクターだったり、考え方や違いをともに共有する時間、機会みたいなものは以前より増してきたと実感しています。スタッフと選手の関係はいいものだと思いますし、チーム力という意味では一番、一体となってきている。僕は森保さんが就任された1年目から招集していただいてますけど、僕が調子いいからとかではなく、今が一番、チーム力は本当に今が一番いいのかなと思う」

 守田はチームの一体感は、過去最高レベルと実感していた。

「ただ、完成ではないので今後もっとよくなると思うし、関係という部分においても、よりいいものになっていくと思う。そこはぜひ期待していただければと思います」

 前回予選やカタール・ワールドカップでの戦い、そしてアジアカップにおいてベスト8で敗退したこと。すべての経験を糧としてきて今がある。

 2日前の囲みではこう言っていた。

「(アジアカップ以降)本当にいろいろと悩んだし、自分のことを見つめ直した中で、自分が表立って話したことだったり、そういうのもあった中で、結局やっぱり1対1の、個の部分がまだまだ弱いなって感じました。それでクラブに帰ってからも、目に見えるデュエルの勝率だったりとか、数字に少しこだわり始めた。そこは今ここにきて、良くなってきてる部分だと思います」

 サウジアラビア戦の圧巻のパフォーマンスは、日々の研鑽と積み上げがあればこそ。前日練習に参加しなかった遠藤がオーストラリア戦を欠場する可能性は高いが、日本はこれまで誰が出ても戦力を落とさずに戦えることを理想とし、チーム力アップに努めてきた。今回はある意味で、そのことを証明する絶好の機会。

 日本には田中碧がいて、鎌田大地がいて、藤田譲瑠チマがいて、そして守田がいる。

取材◎佐藤景