上写真=高い集中力で相手の攻撃を封じ、勝利に貢献した町田浩樹(写真◎Getty Images)
体を投げ出したシュートストップ
日本にとって『守備の』ビックプレーが出たのは27分だった。
中盤でボールを失ってカウンターを許すと、右サイドから中央へポジションを移していたサーレム・アルドサリにボックス内でシュートを許す。絶体絶命のピンチに対応したのが、町田だった。
「あそこはもう股だけ閉じて、距離だけ詰めようと思ってやってました」
見事なブロックでシュートを跳ね返してみせた。しかし、その後も跳ね返りを拾われ、連続攻撃を受ける。
まずはムサブ・アルジュワイル、さらにアイマン・ヤフヤ。いずれもゴール正面からシュートを許したが、町田のほか、守田英正、遠藤航、三笘薫、板倉滉が体を投げ出してシュートコースに入り、ブロック。サウジアラビアの連続攻撃を封じ込めた。
「前半のシュートブロックとか、みんなが体を張っていましたし、本当にしっかりと良いコミュニケーションを取りながら守備ができた」
町田が振り返った通り、大一番で日本の集中力は研ぎ澄まされていた。前回予選で暑さと疲れからミスが出て失点した反省を生かしたと言っていい。
日本は序盤に鎌田大地、終盤に小川航基がネットを揺らしたが、常に冷静に対応し続け、最後の局面で正解を出し続けた町田ら守備陣のプレーも勝利に大きく結びついた。
「完全アウェーの中でしっかり無失点で勝ち点3を取れたのはチームとしてすごく自信になると思います。ただ、まだ攻撃の部分も守備の部分も改善できるところがあると思うので、そこはまた取り組んでいきたい」
未勝利だったジッダでサウジアラビアを下し、最終予選3連勝。複数得点に目が行きがちだが、相手にゴールを許しておらず、クリーンシートも継続している。
「ラインを常に下げない、ずるずる下げないで、高いライン設定しようというのは声掛けしていましたし、誰かが競ったときのカバーリングも距離感が良かった。セカンドボールを拾う意味でも」
後半は、相手の配球とロングボールに怖さがないことを見切り、ある程度、割り切って持たせた部分もあったが、それができるのも安定した守備に自信を持つがゆえ。ただそれでも町田は「今以上」を見据えた。
「5枚でしっかり守ったら簡単に崩れないという自信はできましたけど、ずっと相手にボールを持たれてる時間はやっぱり自分たちとしてもつらいんで、そういう意味では、奪った後のボールの質だったり、カウンターの精度だったりは、もっともっと自分たちを楽にするためにも改善していかなきゃいけない」
次戦は中4日で2位オーストラリアと対戦する。ここまで左センターバックとして最終予選に出続けている町田。4連勝のかかる重要ゲームに欠かせない一人だろう。
取材◎佐藤景