上写真=6日の試合に出場したため、前日は別調整だった上田綺世。8日はしっかり汗を流していた(写真◎佐藤景)
作りに参加し、フィニッシュを担うプレー
所属するフェイエノールト(オランダ)でエース格だったFWサンティアゴ・ヒメネスが先月22日のNAC戦で負傷し、3カ月あまり離脱することになった。上田は交代で入ったその試合で早速ネットを揺らすと、代表合流直前のトゥエンテ戦でもゴールを記録した。
とくにトゥエンテ戦のゴールはポスト役となってビルドアップに加わり、最後はボックス内に入ってヘディングを叩き込んでいる。代表の9月シリーズでも見せていたが、幅広く動きながら攻撃の「作り」に参加し、フィニッシュ役もきっちり担うプレーに磨きがかかっている印象を受ける。
「去年1年間、なかなか試合に出れない中で、いろいろトライしてやってきたことが、去年の後半から出るようになった。それが今年もまたさらに積み重なって出ている結果だと思う。さらにもっと積み重ねて、もっとチームの勝利に貢献できる結果を残さなきゃいけないと思う」
先発機会を得られない中でも常に前向きに取り組み、プレーを磨いてきた。その効果が、着実にピッチに表れている。
トゥエテンテ戦の4日前には、UEFAチャンピオンズリーグのジローナ戦でPKを失敗。チームは3−2で勝利を収めたが、上田にとっては悔しい結果となった。だが、直後のリーグ戦で今季2点目をマークし、その力を証明することに成功した。
「まずPK外しちゃダメなんですけど。ただそこで続いちゃうとチームも個人的にもパフォーマンスが落ちちゃうので、もちろん切り替えるのは簡単ではないですけど、やっぱり自分で結果を残して、無理やりでも切り替えていくしかない。前節の1点はいろんな意味があった1点だったと思う」
上田は失敗を糧にして、これまでも道を進んできた。だからこそ、今がある。
「うまくいかないこともやっぱりいっぱいありますけど、今が勝負だと思うんで。体の準備だけはしっかりして、最大限パフォーマンスを発揮するというのは意識しています」
代表でも着実に存在感を高めている。最終予選、最初のヤマ場を迎える今回のシリーズでも、そのプレーに期待がかかる一人だ。
「(日本はサウジのアウェー戦で未勝利で無得点だが?)記録的なところはあまり考える必要がないかなと思います。僕らが今、W杯予選を戦っていて、ここまで2連勝して1位をキープしている。この2試合はやはりヤマ場になると思うし、ここの結果でこの後の展開も大きく変わる。3連続無得点よりも、チームを勝たせる1点を取れたらいい」
チームを勝利に導く覚悟と確かな自信。
訪れた勝負の時に、真っ向から挑む準備ができている。