日本代表は11日、北中米W杯・アジア2次予選の最終節、シリア戦に臨み、5−0で快勝した。同一戦で右シャドーとして先発し、抜群の存在感を示したのが久保建英だ。

上写真=状態が心配された久保建英だったがシリア戦に先発し、62分までプレーした(写真◎毛受亮介)

陣形が変わっても高水準だった堂安との連係

 前節のミャンマー戦はベンチ外、シリア戦に向けたトレーニングでも一部、別メニューで調整するなど、状態が心配された久保だったが、右のシャドーで先発した。

「1試合目は間に合わなかった。2試合目なんとか間に合えばいいなという中で、最初から60分の時間限定付きだった。ケガは怖かったけど、終わってみたらスプリントもできて、やれたかなと思う」

 中村敬斗からパスを受け、ピッチ中央をドリブルで進んで堂安律のゴールにつなげた19分のプレー。そしてボックスのすぐ外から南野拓実に出したパスがオウンゴールを導いた22分のプレーと、印象的な働きでチームの勝利に大きく貢献した。

 優れたスキルとプレービジョンはこの試合でも随所に発揮されていたが、とくに右ウイングバックの堂安との関係が素晴らしく、時にポジションを入れ替えながら相手に的を絞らせないプレーでチームの攻めを活性化していた。

「彼(=堂安)は基本的に中にカットインしてくる。僕としては彼に近づきすぎず、浮いたポジションで受けてターンしようと考えていた。彼が高い位置を取っているときはあまり考えずに、僕がウイングだったらボールをほしいので、簡単にパスを出すことを意識した」

 今回のシリーズで日本は3バックにトライし、この試合も前半は3−4−2−1で戦った。すべてはチームの戦い方の幅を広げるためだが、これまでも日本の大きな武器であった久保と堂安のコンビネーションは、トップ下と右サイドハーフの関係から右シャドーと右ウイングバックの関係になっても、高水準のままだった。

 もっとも、久保は一定の手応えを口にしながらも「本当に強い相手とやらないと、この3バックが正解かわからない」と話す。

「確かに最終予選は厳しい戦いになりますけど、本当に強い相手かと言われると、(そうではなく)もう1個上のレベルになってくる。イコール僕らが勝てるかというと、そういうことではないので、(最終予選は)全力で臨まなきゃいけないですし、W杯に向けて絶対に落とせない戦いですけど、それとは別に、その先、仮に僕らが突破できた場合の残りの1年というのは、マッチメークの問題は僕ら選手は何もできないので、協会のマッチメークを頑張って欲しいなと思います」

 久保は、9月に始まる最終予選、さらにはその先の戦いを見据えている。今回、試合に大勝したから、それでいいというわけでない。3バックももちろん4バックも、引き続き磨いていく必要性を口にした。