日本代表の旗手怜央が20日、練習後に取材に応じた。イラク戦から一夜明けたこの日は先発組と冨安健洋がホテルでリカバリー。途中出場の選手とベンチメンバー、ベンチ外だった選手がトレーニング。旗手は精力的にメニューをこなしていた。

上写真=イラク戦で途中出場した旗手怜央。20日の練習では全メニューをこなしていた(写真◎佐藤景)

良い守備から良い攻撃を始める位置

 旗手はイラク戦で2点を追う74分から出場した。前半に比べて持ち直していたとはいえ、難しい状況だったのは間違いない。

「僕個人で言えば、やっぱり4ー1ー4ー1の間で受けてほしいという話をされましたし、ゴールへ向かうプレーだったり、ゴール近くでのプレーを求められました」

 旗手が監督に求められていたのは主に相手のDFとMFのライン間で後方からのボールを引き出し、攻撃につなげること。そしてゴールにつながるプレーをすることだ。「プレースタイル的にやっぱり(パスを)もらって前を向いて運ぶっていうところが自分の特徴ですし、水を運ぶっていう意味では、難しい相手との試合の中でも、しっかりそういうところは出そうと思っていた」と試合直後に話していたが、実際、旗手の存在は終盤に相手を押し込む中でチームの機能性を高めていた。

 後半のアディショナルタイムにはCKのキッカーとして遠藤航のヘディングによるゴールをアシスト。勝利を手にすることはできなかったものの、目に見える形で結果を残してみせた。

 イラク戦では2列目がうまく機能せず、攻撃がノッキングするケースも見られた。最適な場所を探しながら高い位置で受け手にも、ラストパスの供給者にもなれる旗手は次戦以降、より長い時間、出場機会を得ることになるかもしれない。とりわけ4−1−4−1のインサイドハーフは所属するセルティックでもプレーしているポジション。あくまで相手の出方に対応する形ではあったが、4−2−3−1でスタートし、うまく機能せずに4−1−4−1に変化している現在のチームにおいて、旗手は2列目中央でプレーすることに最も慣れている選手と言える。

「僕の個人的な考えでは、良い守備から良い攻撃っていうのも、その守備をする位置がどこからが良い守備なのかというのはあると思う。引くことがいいのか、前から行くのがいいのかっていう。アジアの戦いが難しいからこそ、自分たちから行くのも一つだと思います。攻撃的な守備じゃないですけど、自分たちから守備をしにいくっていうのは一つあるなと」

 ここ2試合、チームは相手の攻撃を『受けすぎた』面がある。旗手が指摘するようにアグレッシブな「攻撃的な守備」で序盤から主導権を握ってしまうやり方は本来、日本の得意とするところ。10連勝中の日本は実際にそうやって試合の流れをつかみ、勝利につなげてきた。

 優勝候補と言われる立場で大会に臨んでいるからか、まずは構えて相手の攻撃を受け止めるという試合に入り方になっている。そこで受け止めきれずに劣勢になったのが、ここ2試合の日本だ。そんな状況を改善するうえでも、旗手の指摘は重要だろう。

 1位突破の可能性が潰えた日本は、グループステージ第3戦のインドネシアにきっちり勝利して2位に入り、ラウンド16に進みたいところ。ある程度、先発メンバーを入れ替えることが予想される次戦は、旗手の働きが勝利のカギになるかもしれない。

取材◎佐藤景