日本代表は日本時間14日(20時30分) 、いよいよアジアカップの初戦を迎える。相手はフィリップ・トルシエ監督率いるベトナム代表だ。過去に僅差の勝負を演じてきたチームとの対戦に、どんなメンバーで臨むのか。練習の模様と監督、選手のコメントから予想した。

上写真=ベトナム戦に臨む日本代表の先発予想

ヨルダンとの練習試合のメンバーが軸

 ベトナム戦に臨む日本代表メンバーは、非公開で行われたヨルダン戦の1本目の顔ぶれが軸になりそうだ。基本布陣は4−2−3−1で、GKは鈴木彩艶。ベトナム戦に向けた練習の中で、多くのメニューを1番手でこなし、冒頭のみ公開された試合前日の公式練習でも、ロングボールをクリアするメニューに最初にトライ。仕上がりの良さを印象づけた。

 DFは4バックで、右から菅原由勢、板倉滉、谷口彰悟、伊藤洋輝。ヨルダン戦の先発・左サイドバックは中山雄太が務めた模様だが、以降数日間は別メニューで調整しており、ベトナム戦には先発しないと思われる。中山が出場しない場合、左サイドバックの候補には伊藤洋と町田浩樹が挙がるが、元日のタイ戦はケガ明けで出場を回避したものの、以降の練習でしっかりコンディションを上げてきた伊藤洋が先発濃厚とみる。本来、CBの町田が左サイドバックで出場するのはあくまで不測の事態が起こった時。伊藤洋の状態が芳しくない場合に限られるだろう。

 また、右サイドバックは元日のタイ戦で先発し、縦関係を組んだ伊東純也と良好な関係を築いた毎熊晟矢にも当然、出場の可能性がある。ただし菅原も好調を維持しており、初戦はより代表歴が長く、伊東との連係が深まっている菅原が先発すると予想した。

 MFは2ボランチを守田英正と佐野海舟が務め、2列目には伊東、南野拓実、中村敬斗のフランストリオが並ぶと予想。ヨルダン戦でプレーしなかった遠藤航はクラブで過密日程が続いてたこともあり、初戦はベンチスタートになるのではないか。一方、ヨルダン戦翌日の取材で守田は「いい準備が出来ている」と自身について語り、佐野との関係については「まだ探っている状態」としながらも「練習と試合を重ねていく」中で深めていきたいと話していた。昨年11月のミャンマー戦の途中からともにプレーした守田と佐野が中盤でチームを舵を取る。

 2列目のフランストリオは昨年10月のカナダ戦で一度実現しており、ヨルダンとの練習試合でも試した模様。南野は試合前日の取材の中で2人の特長に触れつつ、「理解しているつもり」とコメント。スムーズなコンビネーションからゴールへ続くルートを生み出したいと話した。

 左サイドについては森保一監督が三笘薫の初戦欠場を明言したことで、代表で5戦5発と好調の中村が先発濃厚となった。所属するスタッド・ランスでともにプレーする伊東は中村について「(プレー面で)できないことはないと思いますし、左からも崩していけると思いますけど、あいつはフィニッシャーなので、最後にうまく持っていければいいかなと思います。右でうまく崩して左で仕留める形ができれば」と、自身がアシストするイメージを膨らませていた。

 1トップは、細谷真大が務めると予想。ヨルダンとの練習試合でも1本目に出場したようで、大会初戦もそのまま1トップに入るのではないか。相手の守備陣はそれほど高さがないため、上田綺世の空中戦の強さを生かす手もあるが、よりハードな戦いが予想される2戦目のイラク戦に上田は温存するとみる。浅野拓磨も同様に温存され、先発するのは2戦目以降ではないか。ヨルダン戦では後半にPKで1得点を記録しており、仕上がり順調だが、初戦については途中からになると予想。パリ五輪世代のFW細谷が先発し、浅野は状況次第で試合のペースを変える役割を担う。

「アジアカップに向けて我々は優勝という高みを目指しながら、一戦一戦、個々の成長、チームの成長を感じながら高みに向かって前進していきたいと思っています。このアジアカップでの日本代表の勝利や戦い、選手たちの頑張りが日本代表の応援をしてくださっているサポーター、日本全国で応援してくれているみなさん、世界で頑張っているみなさんに対し、励ましのエールになるように、ベストを尽くして戦いたい」

 前日会見で森保監督は改めて優勝を目指すと明言した。26人の選手たちが「歴代最多5度目のアジア制覇」達成に挑む。

取材・文◎佐藤景