町田浩樹が守備を引き締めた。2024年1月1日のタイ戦で、経験の浅い周囲の選手を引っ張るように立ちはだかった。それでも実力差が明らかな相手に、町田自身がもっとできたことがあったと振り返る。それが「テンポを作ること」。

上写真=町田浩樹も6試合目の出場だったが、ディフェンスリーダーになった(写真◎小山真司)

■2024年1月1日 国際親善試合(@東京・国立/観衆61,916人)
日本 5-0 タイ
得点:(日)田中碧、中村敬斗、オウンゴール、川村拓夢、南野拓実

「自分の中でいい試合」

 身長190センチで左利き。ベルギーで首位を走る強豪、ユニオン・サンジロワーズでプレーして、ベルギー国内でトップクラスのセンターバックとして高い評価を得ている。

 そんな好条件を備える男だから、日本代表でも存在感は増すばかりである。

 板倉滉と冨安健洋の2枚看板に追随する存在として、谷口彰悟や渡辺剛らとアジアカップのメンバーに入った。3バックでも4バックでも対応できる能力はチームの守備の幅を広げてくれる。

 この日も4バックのセンターの左に入った。周りを見渡すと、コンビを組んだのは代表デビューとなった藤井陽也、左サイドバックの森下龍矢とボランチの佐野海舟はまだ2試合目で、佐野は初先発、さらに右サイドバックの毎熊晟矢とGK鈴木彩艶も4試合目だ。

 というわけで、守備のリーダーとしてクローズアップされたのだった。町田自身も6試合目だけれども、国外での経験がその役割を自然に与えていた。

「チームでも代表でも、経験あるセンターバックが隣にいるので、普段はその選手が引っ張ってくれるというのはありますけど、今日は僕がディフェンスラインの中では経験ある方だったので、こういうシチュエーションの中でやれるのは自分の中でいい試合だったかなと思います」

 5点を奪って無失点の圧勝劇でフル出場。ただ、相手はタイだったから、手放しで喜ぶこともない。

「まだまだもっともっと、うまく動かせる場面もあったので、そこは修正したいなと」

 リーダーとしての自分には、合格点をつけていないのだ。

 動かす、という点では、左サイドのアタックにかかる部分での関与を強めたかったと話す。右サイドは毎熊と伊東純也で何度も崩していったが、左は森下がサイドバックで、代表デビューの奥抜侃志が左サイドハーフ。つまり、初めて組む縦関係だった。だから、左センターバックの自分が促すことができたのではないか、という反省だ。

「侃志も龍矢も、縦に仕掛けられる選手。ただ、ノッキングしてしまったときに、そこからどうするか。早く右サイドに持っていくのか、ボランチを使ってもう1回やり直すのか」

 もちろん、多くの選手が日本代表での経験が浅いから難しさが伴うのは承知である。ただそれでも、なにかできたことがあったのではないかと自らに問いかける。

「今回は自分たちが押し込む場面が多かったので、あまりできなかったですけど、前半は特に左でノッキングしてしまった。その中でも、自分がテンポが作れなかったのは、これからの課題かなと思います」

 前が詰まったら、センターバックが持ち運んで「プラスワン」の数的優位を作ることが、守備をブレイクするきっかけになる。確かにこの日はタイが低いエリアに人数をかけてきたが、その左足が攻撃面でも相手に脅威になるのだ。

 アジアカップでもこの日のタイと同じように、大人数で場所を埋める作戦で向かってくるチームもあるだろう。そのとき、町田の左足が何かを起こすことを期待せずにはいられない。