11月16日のミャンマー戦は、ワールドカップ2次予選の初戦。上田綺世のハットトリックと鎌田大地のゴールに加えて、総仕上げの一発を決めたのは堂安律だ。かつてのホームであるパナソニックスタジアム吹田で、背番号10の左足がゴールを射抜いて、日本代表の一員としてこの懐かしいスタジアムでは初めての得点を記録した。

上写真=何度もゴールを狙い続けた堂安律。それが86分に実って優しい笑顔に(写真◎Getty Images)

■2023年11月16日 北中米W杯・アジア2次予選(@パナスタ/観衆34,484人)
日本 5-0 ミャンマー
得点:(日)上田綺世3、鎌田大地、堂安律

上田綺世の2点目のアシストも

 ついに、取った。堂安律が日本代表の一員として、かつてのホームスタジアム、パナソニックスタジアム吹田では初めてのゴールを奪った。

 何度も何度もゴールに迫った。多いときには6人で壁を築くミャンマーの守備網を、右からカットインして突破して、鋭くシュートを撃ち続けた。しかし、入らない。45+4分には相手を欺くスルーパスで上田綺世の2点目をお膳立したが、自分でゴールを決める情熱はそのプレーから伝わっていった。

 ようやく笑顔になったのは、86分だ。相手の足が止まり、中盤で守田英正がじっくりボールを持つ時間ができた。次の瞬間、最前線で堂安がDFの間を左から中央に斜めにダッシュ、見逃さなかった守田が浮き球で届けた。

 圧巻だったのはここからだ。堂安は左足のインサイドでボールの勢いを手懐けると、今度はショートバウンドしたボールを左足のアウトサイドで優しく撫でて左足の前に置き、飛び出してくるGKのステップを見極めると、ていねいに股下を射抜いた。

「感慨深いものがありますし、たくさんのガンバサポーターが来てくれたのでうれしく思います」

 それが「パナスタ初弾」の感想。何度も打ってその度に決まらなくても、また打った。その姿勢が、引きこもった相手を突き崩すパワーになった。

「ゴールはオフェンス陣にとって一番うれしいので狙っていましたけど、でも一番はチームが勝てたことがうれしく思います」

 あくまで勝利を最優先にするのは、ワールドカップに忘れ物を取りに行くため。次のシリア戦は中立地のサウジアラビアで行われるが、中東でのゲームがハードな中身になることは間違いない。

「厳しい戦いが続くと思いますので、気を引き締めて準備したい」

 疲れも構わず、日本代表のすべての試合に出場したい、と言い切る頼もしさがこの背番号10の最大の魅力。そのタフな左足は、次のシリア戦でも相手の脅威になるだろう。