北中米ワールドカップ2次予選の初戦となる11月16日のミャンマー戦。守りを固める相手を打ち破ったのは、上田綺世だ。11分、45+4分、50分とゴールを集めて、5-0の大勝の立役者に。実力からすれば当然だが、予選初戦の難しさを感じさせない、これぞ上田綺世と言えるハットトリックだった。

上写真=上田綺世がハットトリック! ワールドカップへ向けて最高のスタートを切った(写真◎Getty Images)

■2023年11月16日 北中米W杯・アジア2次予選(@パナスタ/観衆34,484人)
日本 5-0 ミャンマー
得点:(日)上田綺世3、鎌田大地、堂安律

11分、45+4分、50分

 序盤はミャンマーがなりふり構わず守ってきた。6バックで壁を作り、引きこもる。日本は左右に素早く振ってクロスを送り込み、あるいは中に差し込み、あの手この手で崩しにかかった。

 それを早々に実らせたのが、上田綺世だ。

 11分、左からカットインしてきた南野拓実が逆へクロス、と見せかけてそのままループパス、抜け出した上田が後ろから向かってくる難しい球筋をものともせずに、ヘッドでゴール左へと送り込んだ。

 鎌田大地のミドルシュートで追加点を奪ったあとの45+4分、この日2点目を決めてみせる。

 今度は右から堂安律がカットイン、逆サイドへのクロスをイメージさせる足の振りから、鋭く右のニアゾーンに流し込む巧みなパスが送られた。中央から流れてきた上田は、飛び出してきたGKの股下を抜くように、角度のないところから腰をひねりながら右足で落ち着いて流し込んだ。

 そして、後半開始早々の50分にハットトリック完成だ。中央やや左で南野が持つと、上田がDF2人の間の狭いスペースをすり抜ける。南野は見逃さず、チップキック気味に短くスルーパス、上田は左足で狙うフェイントでGKを欺き、右足でていねいにゴール右に流し込んだ。

 すべてが、絶妙な動き出しとゴール前の一瞬のテクニックを駆使した上田らしいゴール。

「自分の良さも多少、出せたのではないかと思います」

 多少、どころではないのだが、実力差がありすぎる相手だけに喜びも控えめではある。

 とはいえ、難しい初戦を軽々クリアできたのは、このストライカーの貢献が大きい。「フォワードの本質は点を取ってチームを勝たせること」と話した言葉を、すぐさまプレーで表現するのはさすが。

 北中米ワールドカップへ最高のスタートを切った日本を、ここから先もゴールで引っ張っていく。