日本代表は17日(19時10分)、チュニジア代表と対戦する(@ノエビアスタジアム神戸)。ケガ人や離脱が相次ぐ中で、どんなメンバーで臨むことになるのか。森保一監督の前日会見と現状を踏まえつつ、ここでは先発を予想する。日本は昨年6月に0−3で完敗した相手に雪辱できるかーー。

上写真=チュニジア代表と1年半ぶりに対戦する日本代表。0−3で敗れたリベンジを狙う

再び実現するか板倉&冨安の2CB!

 10月シリーズにおいて、日本代表にはケガ人と離脱者が相次いだ。腰を痛めていた伊藤洋輝、手を負傷した前川黛也がチームを途中で離脱。13日のカナダ戦では中村敬斗が負傷し、彼らの不在は当然ながらチュニジア戦のメンバー編成に大きな影響を及ぼすことになった。

 森保一監督は試合前日の公式会見で「選手起用においては、カナダ戦から総替えとまではいかないですけど、選手を入れ替えて戦いたいと思っています。システムに関しては、4-2-3-1からのスタートになる」と語った。

 伊藤洋が離脱した左サイドバックは誰がプレーするのか。カナダ戦は中山雄太が先発し、フル出場を果たしている。他に左サイドバックを担うことができる選手を挙げると、アーセナルで同ポジションを務めることもある冨安健洋、東京五輪代表でプレーした旗手怜央、さらに今回の合宿で左からクロス練習を行なっていた毎熊晟矢と町田浩樹、橋岡大樹もプレー可能だろう。

 このうち毎熊は中山同様にカナダ戦にフル出場しており、同条件なら左で起用されるとは考えにくい。あるとすれば途中からだろうか。冨安についてはカナダ戦で前半のみのだったとはいえ、出場するなら同じセンターバックが濃厚だろう。旗手も所属するセルティックではインサイドハーフでプレーしており、なおかつ後述するが左サイドハーフも今回は手薄のため、そちらでプレーする可能性が高い。以上の理由から中山が連続で先発を飾るとみる。指揮官の言葉「総入れ替えとまではいかない」を実践する一人ではないか。

 もう一つチュニジア戦で注目されるのが、左サイドハーフを誰が務めるかだ。活動前に三笘薫が体調不良により不参加となり、代表で左サイドを担ったことがある前田大然も同じくケガで招集を辞退することになった。そして前述の通りカナダ戦で先発した中村敬が負傷。以降、チームには帯同しているとのことだが練習に参加できておらず、チュニジア戦でプレーするのは難しい状況となっている。

 三笘の不参加に伴い追加招集された奥抜侃志はチームに合流したものの、発熱と倦怠感により活動には参加できず、15日に神戸で行われた練習にようやく姿を見せた。とはいえ、コンディションの問題もあり、いきなり先発するとは考えにくい。前日練習を行なった16日の時点で、左サイドハーフの候補として考えられるのは前述の旗手、南野拓実、カナダ戦で途中から左に回った伊東純也、かつて代表で左でのプレーした経験のある浅野拓磨の4人だろうか。

 この中で有力なのは、指揮官がそのポリバレント性について会見で言及した旗手だ。旗手自身も取材の中でサイド攻撃に関して「(日本の)サイドには特徴のある選手はすごく多くなっているのは現実ですし、そこをやっぱり攻撃のキーとしてやっているので、明日もし仮にそのポジションに出るのであれば、僕はそこのポジションからまた今までの選手とは違ったプレーが出せればいいかなと思います」と話した。旗手が先発で出て、奥抜が途中出場する場合には、旗手がトップ下に回る展開もあるかもしれない。

 予想フォーメーションを記せば、上記の通り。GKは、森保監督が前日会見で経験を積ませると明言した鈴木彩艶で決まり。DFは4バックで右から菅原由勢、板倉滉、冨安健洋、中山雄太と予想。中央では9月のドイツ戦で実現した2CB、板倉&冨安がコンビを組む。チュニジアの戦い方いかんでは菅原を1列上げてウイングバックとし、3バックに変更することも可能だろう。

 チームがバランスを欠いたり混乱した際、指揮官はまずGKを除くフィールドの10人に対して『10個の1対1』という考え方を提示し、選手個々が責任を持って戦うことを求める。カタールW杯のドイツ戦の後半やスペイン戦、9月のドイツ戦の後半も、その考えをピッチ上で反映させていた。チュニジア戦でも状況に応じてマッチアップさせることになるだろう。

 中盤は前述の通り、遠藤&守田英正が2ボランチを組む。昨年6月のチュニジア戦では、4−1−4−1でスタートし、アンカーを務めた遠藤航が激しいプレッシャーに晒された。後半からは2ボランチに変更したが、相手の勢いを止められず、ミスも重なって結局0−3で完敗。今回はあらかじめ2ボランチを据え、プレス回避の準備をしつつ、主導権を握る戦いを目指す。仮に4−1−4−1に変化する場合は、所属クラブで8番のポジションを担う守田が前に出て2列目を形成することになる。

 トップ下はカナダ戦で温存された久保建英が務めるのではないか。守備時にトップ下の選手が2トップの一角となり、相手の2CBにプレスをかけるプレーは久保も得意のするところ。攻撃の局面で1トップと絡みながらプレーすることを考えても適任と思われる。右サイドハーフで起用する可能性もあるものの、自陣深く下がったところから前線に出ていくプレーやプレスバックについてはタフな伊東純也に一日の長がある。気になるのは伊東がカナダ戦でフル出場を果たしている点だが、本人は「前回(9月)は中2日なんで。中3日なら疲れがだいぶ取れる」と語っており、出場に意欲的だった。

 左サイドハーフは前述した旗手で、1トップを務めるのは久保と同様にカナダ戦で温存された上田綺世が満を持して登場するだろう。久保や旗手、伊東と連動しながらドイツ戦に続くゴールを期待したい。

 相手のハイプレスにハマッてミスを重ね、日本が敗れたのは過去のこと。戦術的柔軟性に加えて選手層の厚さもしっかり示し、あの日のリベンジといきたいところだ。

取材・文◎佐藤景