上写真=前日練習に臨むカナダ代表(写真◎舩木渉)
採用システムは3−5−2か?
サッカー日本代表は13日、MIZUHOBLUE DREAM CUP 2023でカナダ代表と対戦する。
最新のFIFAランキングでは日本代表が19位、カナダ代表が44位となっている。しかし、カタールワールドカップ直前の強化試合として昨年11月に行われた前回対戦ではカナダ代表が2-1で日本代表に勝利を収めた。順位に差があるからといって、実力差があるわけでは決してない。
ただ、カナダ代表は難しい時期を過ごしている。日本代表の森保一監督が「相手の分析をしても、監督が代わって初戦なので、どういう形で戦ってくるかはわからない」と言及しているように、1年前の対戦時とは体制が変わった。
今年8月末、カナダ代表を36年ぶりのワールドカップ出場に導いたジョン・ハードマン監督が退任。『ジ・アスレティック』によると、辞任の背景には十分なサポートを得られない状況への不満と、それに伴う連盟側との軋轢があったという。6月のCONCACAFネーションズリーグ決勝でアメリカ代表に敗れた後、ハードマン監督は記者会見で幹部たちを目の前にカナダサッカー連盟を批判してもいた。
さらに日本代表がドイツ代表やトルコ代表と対戦していた9月シリーズで、カナダ代表は全く活動できなかった。もともと韓国代表とサウジアラビア代表との国際親善試合を組むプランもあったが、連盟の財政難により頓挫してしまったことが原因だと先述の『ジ・アスレティック』は伝えている。
そんな中で迎えるのが、今回の日本代表戦である。カナダ代表の指揮を執るマウロ・ビエロ暫定監督は、12日の記者会見で「明日の試合は我々にとって間違いなく重要なものになる」と意気込みを語った。
11月にはCONCACAFネーションズリーグ2023-24準々決勝の2試合が控えており、そこで勝てば2024年夏にアメリカで開催されるコパ・アメリカの出場権をつかむことができる。カナダ代表は10月シリーズで1試合しか組んでいないため、今回の日本代表戦はネーションズリーグ準々決勝に向けて残された唯一の準備機会ということになる。
では、森保監督が言及を避けた「戦い方」はどうなるのだろうか。ビエロ暫定監督は、ハードマン前監督の下でアシスタントコーチを務めていた人物でもある。その指揮官に、どういった方針でチームを強化していくつもりなのかを聞くと、次のように答えてくれた。
「重要なのは継続性だ。戦術的な一体感を重視し、核となる選手たちはほとんど入れ替えずに招集した。ネーションズリーグに向けた準備という意味でも、どういった組み合わせがいいのか試していきたい。また、我々には正しい形ができており、アイデンティティも備わっている。日本代表のような相手にそれらをぶつけることで、自分たちの隙や弱点を見つけることもできるだろう」
ハードマン前監督は4バックと3バックを使い分けていたが、対戦相手が強力なビッグマッチでは3-5-2を採用する傾向があった。また、今年に入ってからは3バックで試合に臨んでいたことが多い。11月に重要な試合があることも考えると、ビエロ監督も日本代表戦では3-5-2が基本システムとなるだろうか。
その中で、最も注目したい選手はやはりアルフォンソ・デイビスだ。試合によって起用ポジションがコロコロ変わることに不満を溜め、ハードマン前監督とわだかまりを抱えていたとも言われる22歳だが、新体制では気持ちよくプレーできそうである。
ビエロ暫定監督は日本代表戦に向けた前日記者会見で「デイビスは世界最高の左サイドバックの1人だ。我々にとって非常に重要な選手であり、チームを成功に導いてくれるだろう。彼が最も得意とする、最もふさわしいポジションで起用するつもりでいる」と述べた。
前監督にはトップ下で起用されたこともあったが、ビエロ暫定監督の言葉通りなら日本代表戦では3バックなら左ウイングバックに、4バックなら左サイドバックに入るはず。圧倒的な加速と馬力でサイドを駆け上がってくるデイビスの猛烈な勢いをどう抑えるかが試合の勝敗を左右する重要ポイントになる。
カナダ代表にとっては左サイドの崩しが最大の武器。日本代表は右サイドでバイエルン・ミュンヘン所属の韋駄天を封じ込めることができるだろうか。
取材・文◎舩木渉