日本代表は現地12日、トルコ代表と国際親善試合で対戦した。ドイツ戦から10人先発を入れ替えて臨んだが、前半途中からペースを握ると、3ゴールをスコア。相手に詰め寄られたが、後半も1得点を追加。粘るトルコを突き放し、4−2で勝利。欧州遠征を2連勝で終えた。

上写真=久保のシュートのこぼれ球を押し込むなど中村敬が2得点。勝利に貢献した(写真◎Getty Images)

■2023年9月12日 国際親善試合(@セゲカ・アレーナ)
日本 4-2 トルコ
得点:(日)伊藤敦樹、中村敬斗2、伊東純也
   (ト)オザン・カバク、ベルトゥ・ユルドゥルム

欧州遠征で意義のある2連勝

 日本はフォーメーションこそドイツ戦と同じ4−2−3−1だったが、先発は左サイドバックの伊藤洋以外の10人を入れ替えた。右サイドバックの毎熊、左CBの町田はこの試合が代表デビュー戦。初スタメンを飾った中村敬や伊藤敦も含め、「より多くの選手に経験を積ませたい」と語っていた森保一監督の言葉通りの人選となった。

 この試合のポイントは新しいメンバーがどれだけチームを機能させるかだった。開始10分まではトルコペースで試合が進んだと言っていい。日本のプレスがハマらず、ボールの奪いどころが定まらない。後手に回る守備が続き、何度か自陣深い位置までボールを運ばれた。

 だが、相手の拙攻にも助けられ、次第に日本がペースを握り始める。特に右サイドのローテーションがスムーズでトルコ守備陣が混乱をきたし始めた。

 堂安が幅を取り、毎熊が内側に入る。伊藤敦も積極的に前に関わり、突破口を開いていく。ここに久保も絡み、チャンスの芽を大きくしていく。15分、その右サイドの連動から日本が先制に成功した。

 CB谷口からのボールを内側に入って収めた毎熊は、右サイドで幅をとっっていたところから内側に入ってきた堂安に展開。堂安は相手に寄せられながらも力強くキープしてフォローに入った伊藤敦へ。伊藤敦は対峙する相手をフェインで揺さぶり、堂安とワンツーで中央に移動しつつ、ボックス手前から左足一閃。ゴール右上に鮮やかなシュートを決めた。

 その後も最終ラインから出たボールを久保がフリックして毎熊に預け、動き直して再びボールをもらって短いドリブルからライン裏を狙う古橋にスルーパスを出した20分のプレーなど、日本は連動したプレーからチャンスを築く。

 28分、高い位置でボールを奪うと、久保がミドルレンジから左を振り抜いた。相手GKが弾いたところに中村敬が拾って冷静に蹴り込んだ。

 さらに36分にも日本が追加点を奪う。ハーフウェーライン付近で毎熊が相手左サイドバックのブルトの背後からつついてボール奪取に成功。前向きの守備から一気に前進し、中央で古橋と久保が走り込みで最終ラインを押し下げるの確認して、ファーサイドにいた中村敬へ。中村敬は狙いすましてゴールを射抜き、日本がリードを広げた。

 ただ前半終了間際の相手FKの場面で日本は失点してしまう。コクチュが送ったボールに対し、ゾーンで守る日本の大外で待つファーサイドのミュルドゥルに合わせられた。中村航が鋭い反応で防ぐも、こぼれ球をカバクに押し込まれる。

 この一連のプレーで中村が右肩を負傷。シュミット・ダニエルと交代することになった。日本にとっては予期せぬタイミングで6枚使える交代のカードの1枚を使うことになってしまった。

 3−1で迎えた後半、日本は堂安に代えて伊東純也、毎熊に代えて橋岡、中村敬に代えて前田大然を投入。前半の終盤に勢いを増していたトルコを突き放すべく、全体的に活性化を狙った。だが、トルコも同じタイミングで5枚替えを実施。反攻の構えを見せる。

 次の1点を手にしたのはトルコの方だった。61分、日本の右サイド深くまでボールを運ばれると、サル、ユンデルとボールをつながれ、最後はボックス内からユルドゥルムに決められてしまった。

 日本の3−0になった際にはブーイングが鳴り響いていたスタンドから、トルコサポーターによる大声援が降り注いだ。トルコの勢いが増し、日本は簡単には前進できなくなる。1点差となり、試合の緊迫感も増していった。

 日本が落ち着きを取り戻したのは64分に伊藤敦に代わって遠藤が投入されてからだ。ピッチ中央のみならず、全体にバランスがもたらされた。

 70分を過ぎると、日本が立て続けにピンチを迎える。73分にはカウンターを狙った古橋が倒され、逆にカウンター返しを受ける。しかしながらGKシュミットの好守もあって防ぎ、さらなる失点を食い止めた。遠藤が入って以降、中央の強度も上がっていた。

 78分には伊東が右サイドを抜け出し、ボックス内でファウルを受けてPKを獲得。自ら決め、『ゲンク凱旋試合』でドイツ戦に続き、ゴールをスコアした。

 試合はそのまま4−2で決着。日本は多くの選手を試しながらも、結果もしっかり手にした。

 ドイツ戦に続いて4ゴールを記録してトルコに快勝。森保監督は「コンセプトの共有と選手層の拡充」をテーマとしていたが、その意味からも実りの多い欧州遠征になったと言える。

取材◎佐藤景

▼出場メンバー
・日本代表◎GK中村航輔(45+3分:シュミット・ダニエル)、DF毎熊晟矢(46分:橋岡大樹)、谷口彰悟、町田浩樹(79分:冨安健洋)、伊藤洋輝、MF伊藤敦樹(64分:遠藤航)、田中碧、堂安律(46分:伊東純也)、久保建英、中村敬斗(46分:前田大然)、FW古橋亨梧