上写真=合宿4日目の練習終了後、遠藤航が取材に応じた(写真◎Getty Images)
日本は強いって気持ちは大事
4年間過ごしたドイツ・ブンデスリーガのシュツットガルトを離れ、この夏、遠藤はプレミアリーグのリバプールに移籍した。現在、世界最高峰とされるリーグの名門中の名門クラブ。ファビーニョ、ジョーダン・ヘンダーソンが抜けて、大幅な刷新を図る中、電撃的に加入した。
プレシーズンをリバプールで過ごすことなくプレーすることになったため、チームにもリーグにも馴染むのはまだこれからだが、すでにブンデスリーガとの違いを体感しているという。
「やっぱりプレミアの方がブンデスと比べてもより、縦に行ったり来たりするような展開というか、それがプレミアなのか、リバプールのプレースタイルもあると思うんですけど、そこはかなり求められる部分だと思う。(クロップ)監督からも攻撃で縦に行ったときに『もっと仕掛けを早くしろ』と。それは、僕だけじゃなくて、後ろの選手たちは特に言われる部分。縦の動き、運動量はかなり求められる」
高いレベルを要求される環境は、遠藤が望んでいたことでもある。
「周りの選手のクオリティーが高いんで、普段の練習からインテンシティが高いし、普段の環境がやっぱり変わってるわけなんで、すごく成長できるチャンスだなと。30歳にしてリバプールに行けて、こうやってまた新たに成長できるチャンスがあるっていうのはすごく幸せなことだと思う。個人的には求めていた舞台にこれてうれしい」
自らが成長することは自然、代表チームの成長にもつながっていく。今回の代表活動ではドイツとの再戦もある。「ここでもう1回、しっかりドイツを倒せれば、自分たちの力というのを証明できると思うし、チームも自信を持ってその次に向かっていけると思うんで、大事な一戦なると思います」と遠藤は、さらに自信を深める意味で重要と今回の一戦を位置付けた。
相手のドイツは日本に敗れ、カタールW杯でグループステージ敗退して以降も戦績が芳しくない。今回の再戦には監督のハンジ・フリックの首をかかっているとも報じられている。当然、前回以上のテンションと圧力で向かってくることが想像されるが、遠藤は「そういう気持ちで来てくれた方がやっぱいいと思う。親善試合を意味あるものにする意味でも」と、その状況を歓迎。「もう1回、僕らもワールドカップと同じような気持ちで戦わないと勝利に持っていくのは難しい」と気を引き締めた。
ドイツは今、日本と同様に様々なことを試している最中で、かつフォーメーションも複数の形を採用する。試合中に可変してくることも想定されるが、そのことを問われた遠藤は、臨機応変な対応がポイントになると話した。
「(相手が)3枚だったらどうとか、4枚だったらどう、みたいな話は常にしているし、そこは選手同士でもコミュニケーションそ取っている。もちろん自分がある程度、コントロールして変えるのもありだと思いますけど、そこは別に自分が決めるから、そうするとかではなく、やっぱり選手一人ひとりで最終的に判断していきながら、3枚の行き方だったり、4枚の行き方で判断を変えていけるようになっていくことがすごく大事」
相手を見て対応する力は、かねてより日本代表が求めてきたもの。6月のペルー戦は守備の局面で4−4−2にセットしてからプレッシャーをかけていく守り方にトライしたものの、意識のズレを感じる場面もあったという。「相手が3枚になったときに、3枚を当てる守備の仕方をして、何回か(三笘)薫が、4枚のところから3枚のところに行って、そこで一瞬、4-2-3-1の守備のやり方にした。でもFWの選手とかがどっちかというとやっぱり4-4-2の守備をしちゃうからハマんないみたいなシーンがあった」と指摘。「そういうのは、自分が指示を出すよりかは、やっぱり薫とか逆だったら(伊東)純也のアクションで、自分たちが4-4-2から4-2-3-1の守備のシフトするみたいな、そういう判断を周りの選手も含めてやっていく感覚ができていくと、チームとしてはより完成度が高くなっていくんじゃないかと思う」と、言わずとも相手を見て、対応を変えられるチームになることを求めた。
「前回、ワールドカップで勝って、もっと言えば、これからの子どもたちは『次もドイツに勝てるでしょ』って思ってると思う。だからそれが普通になっていけばいいのかなと。そういう純粋なそのメンタリティというか、日本は強いんだっていう気持ちは大事にしていくことが大事だと思うし、今は本当に、高望みしてるわけじゃなくて、普通にドイツに勝てるっていう、勝たないとって言えていること自体が、成長になっていると思う。日本サッカーが少しずつ伸びているとは思います」
日本時間9日深夜27時45分、日本代表はドイツと再び相まみえる。