上写真=2日目の練習後、移籍先がラツィオに決まるまでの心情を語った鎌田大地(写真◎サッカーマガジン)
色々ありましたけど今は決まってよかった
合流直前に移籍後初ゴールを挙げ、代表活動に弾みをつける形になった鎌田大地が取材に応じた。
フランクフルトを退団し、次のプレー先が決まるまで本人も認めるように、予想外に時間がかかった。
「大変だったですね。2チームに絞ってたんで、どちらかには行けるだろうなと思ってて。それが両方難しくなったときは一番難しかったです。色々ありましたけど、とりあえずだって今は決まってよかった」
ラツィオに加入が決まったのは、8月4日。そこから20日のセリエA開幕戦(レッチェ)まで2週間余りしかなかった。
「やっぱり、難しい。ブランクが長かったので、難しくなるだろうなと思っていましたけど、やっぱり難しかったし、個人的にっていうよりもチームとしても難しい時期を過ごしてたんで、自分一人でどうにかできるタイプじゃないし、チームとしても良くなかったっていうのは僕にとってなかなか難しいものでした」
チームメイトを生かし、自らもチームの中で生きる鎌田にとって、所属先決定の遅れはそれだけ新シーズンの入りを難しくした。しかしセリエ第3節の昨季王者ナポリとの対戦で結果を出す。難しいシュートを決め切り、決勝点を記録。王者撃破の立役者になった。
「かなり自分自身も強い覚悟で臨んでいたし、結果が欲しいというのがあったんで、ここ2試合がすごい大事だなと思っていた中で、結果がついてきてよかった」
クラブで一つ結果を出し、次は代表で結果を求める番。
「ドイツ代表としては納得できるような結果が得られてない中で間違いなく日本戦全力で来ると思う。そういう面では全力でお互いやれると思う。何と言ってもやっぱり一番は結果だと思うし、いい結果で終われるっていうのが一番。終わってからまた、良くなかったことは言えると思いますけど。いい結果がついてくればいい」
カタールW杯におけるドイツとの前回対戦では守備に奔走する時間が長く、特に前半は相手に圧倒された。
「個人としてはもっとできたという感覚もありました。もちろんチームが勝ったことが一番だったし、大きな大会はそれが一番なんで、そこに関しては良かった。ただ個人的にはもっとできてもおかしくなかった思うんで、できないとダメだと思うし、求められてるものは大きかったと思うから、また自分の価値を表現できたらいいなと思います」
その「もっとできた」を今回の対戦で出せるかどうか。
「今の(取り組んでいる)サッカーを自分たちがしようとしても、相手の勢いがすごかったら、相手の本拠地だし、難しい。もちろん自分たちは、できるだけそういうふうにならないようにと取り組みますけど、なっても仕方ない部分はあるだろうし、それをゼロで終われるかどうかが一番大事だと思う。ゼロで進めば進むほど自分たちのやりたいことができたり、スペースが空いたりがあると思うので、難しい時間があっても割り切って失点しないようにするのが大事だと思います」
親善試合であり、テストやトライの意味合いは強いが、勝利を求めることを疎かにしてはいけないと言うことだろう。本気のドイツとアウェーで対戦する中で、日本に何ができて何ができないのか。それを正しく見極めるためにも、結果を求めて戦うことは大前提になる。
カタールW杯から10ヶ月。鎌田は勝利を目指しつつ、「もっとできる」自分をピッチで表現するーー。