日本代表は15日、愛知・豊田スタジアムでエルサルバドルと対戦した。開始早々に2ゴールをスコアすると、相手に退場者が出たでも攻撃的な姿勢を維持。代表復帰組もデビュー組も躍動してゴールを重ね、6−0で快勝した。

上写真=久保建英も代表通算2ゴール目を記録。三笘薫のアシストだった(写真◎毛受亮介)

■2023年6月15日 キリンチャレンジカップ2023(@豊田スタジアム)
日本 6-0 エルサルバドル
得点:(日)谷口彰悟、上田綺世、久保建英、堂安律、中村敬斗、古橋亨梧

試合の入り方が良かった(森保監督)

 試合開始4分までに日本が2点を奪った。左サイドで突破を図った三笘が相手に倒されFKを獲得。久保がキッカーを務め、左足で入れたボールをCBの谷口がヘッド。相手の上から叩きつけるシュートで1分と経たぬうちにゴールを奪った。

 その直後、相手CBのロナルド・ロドリゲスが左サイドからボールをうまくコントロールできず、流れたボールに上田が反応。ボックス内に進入すると、相手がたまらずファウルを犯し、PKを獲得した。このプレーでR・ロドリゲスは一発退場。上田が自らPKを決めて日本がいきなり2点のリードを奪った。上田にとってはこれが代表初ゴール。

 テストマッチであることを考えると、相手が一人少なくなったことは日本にとっては歓迎すべきことではなかったかもしれない。実際、最終ラインからのビルドアップでプレッシャーを受けるような場面はほとんどなく、自由に運べて展開し、以降はほぼ日本が押し込んでプレーすることになった。

 ただ、今回のシリーズのテーマの一つである後方からのビルドアップに関しては『良いテストの場』とはならなかったものの、引いて守る相手をいかに崩すかというテストの場にはなった。選手は積極的にボールを奪いに行き、コンビネーションからゴールに迫っていった。

 左サイドではワイドに開いた三笘から相手の背後をとる旗手にパスが出てチャンスを創出し、右では久保がたびたび中央に入りながら堂安や守田と連係して攻撃を活性化させた。久保は25分にボックス左でボールを回収した三笘のパスをダイレクトで叩いてネットを揺らしている。

 さらに前半終了間際には後方からのフィードをポストに入った上田が落とし、三笘が拾って得意のドリブルでゴールに迫りシュート。GKが弾いたところに堂安が詰めてネットが揺れた。前半だけで日本が4−0の大量リードを奪った。

 相手に退場者が出たこと、大差がついたことで『大味な』試合になるケースもあるが、日本は後半も選手を交代させながら積極的にゴールを目指していく。その姿勢が試合を冗長にはしなかった。60分には敵陣で堂安がプレッシャーをかけて旗手がボールを回収。素早く久保に縦パスをつけると、久保がボックス手前でまた抜きパスを送り、最後は三笘に代わって後半から出場していた中村敬がネットを揺らした。上田に続き、中村敬も代表初得点を刻む。

 大量リードを奪った後も日本はゴールへの意欲を継続してみせた。当然ながらチーム内には競争があり、途中出場選手は先発組を刺激すべく意識高くプレーした。上田に代わって1トップに入った古橋がゴールを決めたのは73分のこと。相馬の右クロスを相手DFの間に入り込んでヘディングシュート。代表通算4点目を記録した。

 76分には体調不良で離脱した川村拓夢に代わって追加招集され、前日にチームに合流したばかりの伊藤敦が途中出場。代表デビューを飾った。

 代表に定着しながらもゴールが遠かった久保や上田がネットを揺らし、カタールW杯に選外となった旗手や古橋は攻撃面で特長を出した。さらにヨーロッパで経験を詰んでいる中村敬は得点で、川辺はオフ・ザ・ボールの動きとパスでその力を表現。相手に退場者が出た影響はもちろん大きいが、その点を差し引いても各選手の持ち味が存分に発揮されたゲームになった。

「選手たちがいい準備をしてくれて入りの部分がうまくいったからこういう結果になった。自分たちの積極的な姿勢があったからだと思います」(森保監督)

 試合は6−0で終了。この快勝劇が今後、メンバー選考する森保監督の頭をますます悩ませることになったら、早々に退場者が出たワンサイドゲームにはなったものの、この一戦には大きな意味がある。

取材◎佐藤 景

▼日本の出場メンバー
GK大迫敬介、DF菅原由勢(46分:相馬勇紀)、板倉滉、谷口彰悟、森下龍矢、MF守田英正(76分:伊藤敦樹)、久保建英(65分:浅野拓磨)、堂安律(65分:川辺駿)、旗手怜央、三笘薫(46分:中村敬斗)、FW上田綺世(65分:古橋亨梧)