日本代表は24日にカタールW杯後初めての試合に臨む。新生・森保ジャパンの初陣だ。相手はウルグアイ。カタールW杯ではグループステージ敗退に終わったが、FIFAランキングは20位の日本よりも上の16位。南米の強豪国との対戦にどんなメンバーで臨むのか。監督の前日会見の発言と状況を踏まえて予想した。

上画像=ウルグアイ戦の先発予想。1トップを務めるのは浅野か? 上田か?

指揮官は三笘の先発起用も明言

 森保監督は前日会見でウルグアイ戦について、どのようなスタンスで臨むのか説明した。

「形としては、4-2-3-1からスタートしていければなと思っています。これまで我々がやってきた戦術的なオプションであったり、試合中の状況によってどう戦うかというオプションの積み上げはしっかり持ちながらも、これからのことを作っていけるようにしたい」

 まずは、システム。初陣は前日練習の様子を見てから最終決定すると断った上で、カタールW杯予選の終盤で採用した4−3−3でも、本大会で活用した3−4−2−1(5−4−1)でもなく、長らく第1次森保ジャパンの主要システムだった4−2−3−1でウルグアイ戦に臨むと明言した。「4-2-3-1がこれからベースになっていくかどうかといっていう判断をまずはチャレンジしてみて、そこで決めていていきたいと思います」とも付け加えている。

 この発言を踏まえた上で、先発メンバーを考えてみたい。

 まず、GK。ゴールマウスに立つのはシュミット・ダニエル(STVV)だろう。3月シリーズの選手を選考する段階で、指揮官はカタールW杯メンバーがベースになることを示唆していた。今回は権田修一、川島永嗣が選外であり、出番こそなかったがGK唯一のW杯経験者シュミットに、最初の試合を任せると思われる。
 
 むろん、谷晃生(G大阪)と大迫敬介(広島)の東京五輪コンビの実力も指揮官は知るところだが、チームの最年長者として最後尾から初陣を引き続き締める役をシュミットが担うことになるだろう。

 DFは今回の予想の中でも、最も迷ったポジションだ。板倉滉(ボルシアMG)が中心となるのは間違いないところだが、その相棒選びが難しい。吉田麻也は招集外で、冨安健洋はケガのために不参加の中、誰が板倉とCBコンビを組むのか。候補は瀬古歩夢、追加招集の町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ)と藤井陽也(名古屋)、そして左サイドバックとCBを兼ねる伊藤洋輝(シュツットガルト)になる。

 このうち、町田と藤井は所属クラブで基本的に3バックの一角でプレーしており、今回は4バックを採用すると指揮官が明言しているため、先発候補からは外した。それに対して瀬古はグラスホッパーで3バックでも4バックでもプレーしており、現状の対応力という面では前述の2人に勝るだろう。左利きの町田を左CBでプレーさせ、代表で主に右CBを務める板倉とのコンビを組む可能性もあるが、瀬古は町田よりも1日早くチームに合流できており、コンディション面でも優位だろう。さらに前線やサイドにスピードのある選手がいるチーム事情を考えても、瀬古のロングフィードは武器になり得る。

 左サイドバックの先発候補である伊藤洋輝(シュツットガルト)もロングパスには定評のある選手だ。カタールW杯を経験し、代表の4バックで左CBとしてプレーした経験も持つため、当然、CBの先発候補になり得る存在だが、伊藤を左CBで起用する場合には、左サイドバック(SB)の人選を考慮しなくてはならない。今回のメンバーの中で左SBを専門職としているのは、バングーナガンデ佳史扶のみ。初招集の選手をいきなり森保ジャパンの初陣で起用するかどうか。そう考えると、ウルグアイ戦は伊藤に左SBを任せるのではないか。

 橋岡大樹(STVV)と菅原由勢(AZ)はCBでのプレー経験を持つものの、所属クラブでは右サイドバックが主戦場。3バックならいざ知らず、他に候補がいる中で2CBに起用するとは考えにくい。彼らは右の候補者だろう。したがって、板倉の隣には瀬古が入るとみる。

 今回、左SBに比べて人材豊富な右SBには、前述の橋岡、菅原に加え、半田陸(G大阪)と3人の候補者がいるが、所属クラブでの充実を考えれば、菅原が一番手だろう。1月末から約2週間に渡って行った欧州視察の際に森保監督は菅原のプレーを見に行っており、その期待の高さがうかがえる。以上の理由から4バックの構成は右から菅原、板倉、瀬古、伊藤になると予想した。

 次にMFついてだが、遠藤航(シュツットガルト)、守田英正(スポルディング)がボランチコンビを組み、2列目は右から伊東純也(スタッド・ランス)、鎌田大地(フランクフルト)、三笘薫(ブライトン)という5人で構成すると読む。ボランチは指揮官が前日会見でゲームキャプテンにすると明言した遠藤と、田中碧(デュッセルドルフ)よりも2日早い19日に帰国し、合宿初日から調整してきた守田が先発するのではないか。右サイドハーフは伊東純也と堂安律(フライブルク)が同日(=21日)に帰国しており、コンディション面に極端な違いはなさそうだが、そうであれば今回はカタールW杯モデルを優先し、伊東が先発を務め、堂安は状況次第で後半から登場して攻撃を加速させる役割を担うのではないか。

 トップ下の先発は鎌田だろう。久保建英(ソシエダ)は新型コロナウイルスの陰性を確認できず、前日練習にも合流できなかった。久保は出場そのものも難しく、28日のコロンビア戦に向けて調整していくことになりそうだ。他の候補としては西村拓真(横浜FM)がいるが、周囲との連係ではやはり鎌田が勝り、推進力のある西村は出場するにしても、相手に疲れが出てくる終盤の方が効果的かもしれない。

 そして左サイドハーフは、監督が会見で先発を予告した三笘になる。ノリに乗っているアタッカーが日本の攻撃を牽引する役を担う。同じ左サイドハーフの中村敬斗(LASK)はこの試合で代表デビューを飾るなら、途中出場で、ということになりそうだ。

 最後に1トップについては、カタールW杯のファーストチョイスだった前田大然(セルティック)が20日に帰国後、別メニュー調整が続いており、今回は出場を回避する模様で、候補としては浅野拓磨(ボーフム)と上田綺世(セルクル・ブルージュ)、町野修斗(湘南)の3人になる。先発予想は、代表戦で印象的なゴールを刻んできた浅野とした。ベルギーリーグでゴールを量産中の上田の線もあるものの、今回の試合は前半から流れを引き寄せるためにアグレッシブにボールを奪いにいくと予想する。それゆえに強度の高さと相手にアプローチする際の速さを重視し、ここでは浅野を選択した。町野については、浅野がスタートから飛ばしたあと、そのバトンを受ける形で出場するのではないか。スペースが空いてきた終盤に、周囲の選手と連動して仕上げ役を担う。

「ホームと言うことで、勝利を目指して戦い、選手たちには今、自分たちが持っている個の力、そしてチームとしての戦いの中でベストを尽くして戦ってもらいながら、今の最高の個のパフォーマンス、チームのパフォーマンスができるように、思い切ってプレーしてほしいなと思います。カタールW杯までのチームの積み上げ、そして日本のサッカーが積み上げてきたことを生かしながらも、これから2026年に向けて我々が何を作っていけるかということ、新しい目標に向かって、新しい大会に向かって我々がチャレンジをしていくということを、選手たちには思い切って表現してほしいと思っています」

 森保監督はチームとしてウルグアイ戦で表現したいものについて、このように語った。新生日本代表の初陣は本日24日、19時30分に国立競技場でキックオフされる。

取材・文◎佐藤景