上写真=クロアチア戦の予想スタメンとシステム。自信を深めた3-4-2-1でリスク管理とアグレッシブな攻めを両立させるのではないか
遠藤、冨安、酒井が復調。初の8強入りに挑む!
決勝トーナメントで対戦するクロアチアの基本システムは4-3-3。モドリッチ、ブロゾビッチ、コバチッチからなる3センターハーフは流動的に動き、数的優位を生み出しつつ、チャンスを創出する。日本はベスト8進出をかけて、現地5日18時(日本時間5日24時)にこの難敵と対戦する。
難敵と書いたのは、まず、とらえにくいスタイルであることが理由だ。ポゼッション志向は高いものの、必ずしもボール保持にこだわるわけでもない。状況に応じてロングボールを使いながら、攻め筋を探る戦い方もできる。また守備でもハイプレスから一気にカウンターを発動するというよりも、しっかり守って相手の攻撃を受け止め、攻めに転じるケースが多い。しっかり守るタイプは日本が苦手とするところ。コスタリカ戦を考えれば分かりやすいだろう。
日本にボールを持たして自陣に引き込み、ボール奪取から攻めに転じる戦い方を選択されると、厳しい。前回大会で延長、PKを重ねながらファイナルに上り詰めたように、精神的にもタフなチームだ。日本が焦れて強引に仕掛ければ相手の思うつぼ。いつどこで誰が守備のスイッチを入れ、どうやって攻めに転じるのか、意思統一しておきたいところだ。
さて、クロアチア戦に臨む日本の予想システムだが、基本はスペイン戦の3-4-2-1(守備時は5-4-1)で戦うのではないか。酒井宏樹がケガから復帰して2日前から全体練習に参加し、遠藤航も右ひざ痛から回復、ハムストリングを痛めていた冨安健洋も復帰を果たしており、ほぼベストメンバーで臨むことができそうだ。その場合は、4-2-3-1でハイプレスを仕掛ける策も想定できるものの、決勝トーナメントは一発勝負。グループステージとはまるで異なり、より堅い試合になる傾向が強い。まずリスク管理の徹底を考えると思われる。そうなると、スペインの攻撃を跳ね返した5-4-1を採用するのではないか。良い守備から良い攻撃というチームをコンセプトを遂行するためだ。
GKは権田修一。安定したセービングでスペイン戦でも勝利に大きく貢献した守護神が、引き続きゴールマウスに立つ。
DFは3バックで右CBに冨安健洋、真ん中のCBに吉田麻也、左CBはスペイン戦で評価を高めたと谷口彰悟が務める。
右ウイングバックは伊東純也、左は長友佑都。左右で攻守のバランスを取りつつ、前半は日本の攻めが右肩上がりになるかもしれない。試合開始直後は前から圧力をかけ、そこでチャンスが作れない場合はリトリートして相手左ウイングのペリシッチに伊東がしっかり対応する。左は燃える男、長友がクラマリッチと対峙。後半にリズムを変え、攻めに出る役割を担うのが三笘薫だ。
ボランチは復調した遠藤と守田英正で決まりだろう。最終予選を戦った不動のコンビがコスタリカ戦に続いてW杯の舞台に挙がる。シャドーに入る鎌田大地を含めたこの3人でクロアチアの3センターハーフの仕事に制限をかけたいところ。難しいタスクだが、ここで優位に立てば、それだけ日本にチャンスも生まれるはずだ。
鎌田が左シャドーに入るとして右シャドーは、堂安律が務めるのではないか。久保建英が3日、4日の練習に体調不良で不参加となり、クロアチア戦の出場は難しそう。代わってドイツ戦、スペイン戦でゴールを叩き込んだ持っている男・堂安が先発すると予想した。
1トップは前田大然。ビルドアップの局面で相手のアンカー、ブロゾビッチに制限をかけるだけでは足りず、ハナから堂安と2トップを形成し、相手の2CBに圧力をかけていくことも考えられる。とりわけ組み立て能力の高い、グバルディオルを自由にさせてはいけない。
遠藤も話していたが、相手の中盤が自由に動き回るため、どこまで付いていくのか、どこでボールを奪うのかがこの試合のポイントにもなりそうだ。優勝経験国に勝利したのは間違いないものの、その事実が日本の8強入りを約束してくれるわけではない。細心の注意を払い、全力で勝ちにいく姿勢が求められる。
負ければ終わりの決勝トーナメントで一戦必勝の戦いを全うし、日本は歴史を塗り替えることができるか。注目のキックオフは日本時間5日、24時だ。
取材◎佐藤 景