日本が過去最高のベスト8を実現する戦いが、間もなくやって来る。12月5日、カタール・ワールドカップのラウンド16でクロアチアと対戦。冨安健洋が「堅い」と表現する前回準優勝国に勝つには、中途半端は禁物だ。しっかり、はっきり、がキーワード。

上写真=冨安健洋の守備力はシビアな戦いになればなるほど効いてくる(写真◎Getty Images)

「中途半端で泣くのが一番よくない」

「考え過ぎずに、感じたままにプレーするのが一番だと思うので、信じて次のステージに行ければいいのかなと思います」

 運命のラウンド16を前に、冨安健洋は無心を求める。Don’t think. Feel.

 もちろん、考えて考えて、考え抜いたからこそ、その向こう側にある「感じる」の境地に到達することができる。考えることこそが冨安の真骨頂だ。

 そのためには、相手を知ることが重要。

「0-0が2試合あって、もちろん4点取ってますけど、どちらかというと堅い。3試合で失点1のところのほうが印象には残っていますね」

 前回大会で準優勝したときも、ノックアウトステージではPK戦や延長戦を勝ち上がってきた。今大会もグループステージ3試合で失点は第2戦でカナダに食らった1だけという堅実ぶりである。

 そんな「盾」に向かって、日本はどうすべきかを思考する。

「堅い試合をするべきだと思いますし、そういう意味では僕はディフェンダーなので無失点に抑えることができればいいかなと思います」

 ゴールを許せば、クロアチアがさらに堅さを増すのは明らかだ。

「ボックス内でより人への意識を高めるのは、ディフェンス陣の中で今日(吉田)麻也さんに伝えました。結局、点数を決めるのは人なので、よりボックス内では人への意識はもう少し強めていいかなという話はしました」

 ノックアウトステージは一発勝負だから、なおさら緩みを見せてはいけない。逆に言えば、一つのチャンスで決めきってしまえば圧倒的な優位に立てる。守りながらどこかでひと刺しするそのバランスは、ドイツ戦やスペイン戦で見せてきた。しかし、クロアチアはまた異なるチームだ。

「もちろん一発でいければいいですけど、サッカーはそんなに簡単ではないと思っています。前線の選手には本当にいけるのか、それとももう一つ待っていったほうがゴールへ迫ることのできる確率が高いのかという判断は求めていきたい。それだけで本当に流れが変わったり、時間を使えたりと、ワンプレーで変わってくるので、そういうところも話していければと思います」

 その意味で大切なのが、コスタリカ戦の内容と結果である。グループステージで初戦のドイツに逆転勝利を収めて鮮烈なアップセットを演じたあと、続くこの第2戦では0-1で敗れている。

「あの試合は(求める勝ち点が)1なのか3なのか難しい部分があったから、ああいう試合になってしまったんじゃないか。今回はノックアウトステージですし、中途半端にならず、しっかり守るときは守るし、取りにいくときは取りにいく、というように、もう少しはっきりしなければならないと思っています」

 しっかり、はっきり、がベスト8進出を占うのだ。

「あの試合は結果的に負けていますし、中途半端で泣くのが一番よくない。悔いが残ります。しっかり僕たちの100パーセントを出しきる試合にできればと思います」

 なにも成功体験だけがチームの力になるわけではない。「失敗体験」が生きるときがやって来る。