カタール・ワールドカップに出場中の日本代表は23日、ドイツ戦との大会初戦で見事な逆転勝利を飾った。歴史的な一戦となった試合で伊東純也はサイドハーフ、シャドー、ウイングバックと3つの役割をこなし、勝利に貢献した。

上写真=ドイツ戦でフル出場を果たした伊東純也(写真◎JMPA福地和男)

前半は前に行きたかったけど難しかった

 前半、対峙するドイツの左サイドバック、ラウムを監視するために伊東は後退を余儀なくされた。「うまくはまらなくて、自分が5バックみたいな感じでラウムを見てたんですけど。前に行きたかったけど、やっぱり難しくて。フォーメーションではまってなくて、後手後手になってしまった」。ラウムの裏を突くのが日本の狙いだったはずだが、スタート直後は、はまっていた日本のプレスが次第に空転。ずるずると後退させられた。

 前半を0-0でしのぎ、後半勝負のプランも崩れることになった。失点の場面では「あの一本だけ、危ないと思って2人とも中を締めてしまって、外が空いた。もったいなかったというか意思疎通ができてなかった。ゴンちゃん(権田修一)がうまく押さえてくれたので、あそこでカバーできて、PKにならなければ得点はなかったと思う。もったいなかったですけど、次に切り替えてやりたいと思います」。大外でフリーになっていたラウムにパスを通され、ボックス内に持ち込まれて、結果PKを献上した。

 だが、この日の日本はそのまま押し切られることはなかった。「相手をリスペクトしすぎた前半」から一転、後半は形を変えて日本がペースを握る。3-4-2-1の2シャドーの一角にポジションを変えた伊東がその効果を説明する。

「後半は負けてるので、フォーメーションも変えて、自分がセンターバックにプレシャーをかけるというスタイルに変えて、うまく(鎌田)大地と自分が2シャドーでプレッシャーをかけて、サイドでハマったところでショートカウンターとか、相手がすごい嫌がってるのは感じました」。後半の入りから変化して優位に立った日本は、じわりじわりとドイツを追い詰め、堂安律のゴール、そして浅野拓磨のゴールでついに逆転に成功。その過程で伊東は右のウイングバックにポジションを変えて勝利に貢献した。

「試合の、本当に最後の5分とか10分は試してましたけど、この5バックでずっとやるというのは初めてですし、でも何回かやってた形だったので、うまくできたと思います」「5バックだったら高い位置を酒井くんは取ると思うので。そうなったときには中にいて、そこからスペースに走るというのを監督に言われてたので。それを狙ってました」

 日本は大一番で相手の予想の範ちゅうを越えてみせた。それが可能だったのは伊東ら臨機応変にプレーする選手がいただからだろう。この日はサイドハーフ、シャドー、ウイングバックと3つの役割をこなしたが、守備的にならざるを得なかった。

 次戦に向けて伊東はきっぱり言った。

「ゴールに絡みたかったですし、本当に次の試合は自分が試合を決めてやろうという気持ちでいます」