日本代表は現地17日、カタールW杯前最後の強化試合を戦った。戦前から森保一監督はケガ人の回復具合を見極めとコンセプトの確認をテーマとしていたが、選手のコンディション面で手応えを得た一方でドイツ戦までにチームとして確認すべきことが多くあることも明らかとなった。

セットプレーからの失点と試合の終わらせ方

 例えば、カナダ戦の2失点はともにセットプレーだった(CKからとPK)。前半から何度も相手にCKを与え、ゴール前に送られたボールに対し、相手に先に触れるケースが頻発した。森保監督は「自陣でのファウルの多さ」にも言及したが、ファーストディフェンダーの不用意なファウルはとくに修正が必要だろう。「実際にボールを入れたときに競り合う、セカンドボールの反応を早くするというところを本番前にやっていかないといけない」と指揮官も指摘している。

 この試合では、相馬の両サイドハーフ起用や伊藤の左サイドバック&CB起用、鎌田のボランチ起用など、いくつかのトライを行い、好材料を得た。一方で前述のセットプレー時の守備や、アディショナルタイムにPK献上で失点するなど試合の終わらせ方について課題が見られた。相手の変化や圧力が増した際に、チームで瞬時に対応を共有することができない点も見られた。

 これらは今になって急に浮き彫りになった課題ではない。振り返れば、アジアカップの決勝でカタールに敗れたときから相手に応じて修正する重要性を指摘されてきた。実際、指揮官も積極的に修正力の獲得に取り組んできた。むろん、カナダ戦はコンディションを整える狙いで選手を起用した試合であり、ユニットとして考えた際に難しい部分があったのは事実だろう。本番で少なからず改善されることも見込めるが、主力組とサブ組で意識のすり合わせがまだできていないということでもある。

 何よりグループステージは中3日で進行する。すなわちそれは、コンディション維持のために多くの選手がピッチに立つことを意味する。指揮官が繰り返す「総力戦」となることは必至だ。それゆえに、いつ誰が出ても戦力が維持され、強度が落ちず、修正力を発揮できる必要がある。

 ドイツ戦まで残り5日となった。残された時間は限られるが、人事をしっかり尽くさねば、天命も待つことはできない。

取材◎佐藤 景