キャプテンの吉田麻也の登場で、新たなオプションが示された。カタール・ワールドカップへ向けて最後のテストマッチとして、日本は11月17日にカナダと対戦。1-2で敗れたが、85分から3-4-3システムにシフトして試した新たなオプションを吉田はどう見たか。

上写真=吉田麻也の85分の投入で新布陣もテスト(写真◎Getty Images)

■2022年11月17日 国際親善試合(アルマクトゥーム/UAE)
日本 1-2 カナダ
得点者:(日)相馬勇紀
    (カ)スティーブン・ビトリア、ルーカス・カバリーニ

「プレスをかけるかかけないか」

「しっかり分析してフィードバックして、いい準備をしたい」

 吉田麻也はカナダとの「最後のテストマッチ」をそう振り返った。

 キャプテンは最後にやってきた。6人までの交代枠が認められた親善試合で、6人目の交代。トップ下の南野拓実に代わって、ピッチに登場した。3-4-3システムへの移行である。

 柴崎からキャプテンマークを渡されると、吉田は最終ラインの中央に入って、右に谷口彰悟、左に伊藤洋輝との3バックを組んだ。山根視来が右、長友佑都が左で中盤のワイドに出て、ボランチは柴崎岳と鎌田大地。最前線には上田綺世が立って、その周辺で右に堂安律、左に相馬勇紀がサポートする。ワールドカップ最終予選で盛り返した4-3-3システムから、ワールドカップ本番を見据えて4-2-3-1システムに戻してテストを繰り返し、このカナダ戦も4-2-3-1から最後に3-4-3。

 森保一監督は「想定の一つにはしていました。最後の最後で試して、本番でも使えるように」と振り返る。

 この立ち位置に変えてから、88分には伊藤の左からのセンタリングに中央で上田が突っ込み、89分には柴崎のスルーパスで右サイドを破った山根が思い切ってシュート、右ポストをたたいたシーンとチャンスが続いた。最後は90+4分にPKで失点して1-2で敗れたが、吉田は感触はつかんだ。

「結果的に失点しましたけど、オープンな試合になっていてどちらに転んでもおかしくない状況でした。最低でも1-1で終わらなければいけなかったけれど、この形(4-3-3)を試したのは大きかった」

 センターバックで先発したのはJリーグ組の谷口と、負傷から戻った板倉滉で、それぞれプレー時間を増やして経験を得た。吉田はベンチで見守った。「前半はすごくよかったと思います」と見ていたが、「後半はちょっと強度が落ちて、暑さもあったけれど、全体が間延びしていて、プレスをかけるかかけないか、修正できるところはまだある」と新たな気づきを得た。

 ワールドカップの初戦は23日。「この試合をもう1回見直して、ドイツ戦に向けて完璧な状態に準備したい」と吉田はキャプテンとして臨む本番へ静かに前を見据えていく。