日本代表は27日、『EAFF E-1サッカー選手権2022決勝大会』の優勝がかかった韓国戦に臨んだ。勝てば優勝という条件の中、日本は試合開始から積極性を示し、後半に相馬勇紀、佐々木翔、町野修斗がゴール。3-0で勝利を収め、9年ぶり2度目のE-1選手権優勝を飾った。

上写真=9年ぶり2度目の優勝を飾った日本。セレモニーでは笑顔がはじけた(写真提供◎JFA)

 

■2022年7月27日 E-1選手権 第3戦(@豊田ス/観衆14,117人)
日本 3-0 韓国
得点:(日)相馬勇紀、佐々木翔、町野修斗

日本対韓国 出場メンバー

国内組の価値を高める戦い

 過去2試合とは異なり、試合開始から日本は全開だった。ハイプレスで敵陣からボール奪取を試み、ミドルレンジからも積極的にシュートを放っていく。開始直後から町田や岩田がゴールを狙った。

 前のめりの日本は、19分に最初のチャンスを迎える。敵陣左サイドでボール奪取に成功すると、相馬が拾ってドリブルを開始。その勢いのまま放ったシュートは、わずかに逸れて右のポストを直撃した。ゴールこそならなかったが、森保監督が強調する「良い守備から良い攻撃」をピッチで表現してみせた。

 33分には左CKのチャンスに相馬がキッカーを務め、直接ゴールを狙う。GKが弾いた後、こぼれてきたところを水沼がボレーを放ったが、GKの正面をついた。

 その後、韓国は時折、レンジの長いパスを交えながら日本のゴールをうかがい、日本もボールを積極的に動かして相手ゴールを目指した。ただ、フィニッシュにつながる前に互いにミスが出て、ゴールは生まれず。前半はスコアレスで終了した。

 迎えた後半、日本はギアを入れ直す。開始直後に藤田が敵陣でボールを奪い返し、高い位置でキープしてゴール正面へパス。町野の落としから西村が狙ったが、シュートはGKにキャッチされた。しかし、ゴールへの意欲を示すプレーとなった。

 49分、その姿勢が実る。右サイドのパス交換からフォローに来た藤田がボールを引き取ると、逆サイドへふわりと浮かすボールを供給。すると、相馬がスピード上げて飛び込み、ヘッド。ニアサイドを破り、ついにゴールをこじ開けた。W杯出場への意欲をはっきりと口にするサイドアタッカーは、これが今大会3点目。自身の武器をアピールしてみせた。

 その後、水沼に代わって宮市が登場し、日本は攻撃が加速する。縦の推進力が増した。すると63分、欲しかった追加点が生まれる。左CKの場面で相馬が入れたボールを、佐々木がヘッド。相手守備者の前に入り込んでボールをとらえ、ネットを揺らした。

 2点のリードを奪った日本は積極的なアプローチを維持し、ボールの争奪戦でも優位に立って、攻め続ける。72分には横浜FMの選手たちによる素晴らしいパス交換からゴールが生まれる。藤田が入れた縦パスを西村がディフェンスの裏に浮かせてパス。そこに走り込んだ小池がこれまたダイレクトで中央に折り返し、最後は町野が蹴り込んだ。

 3-0となった直後、76分にはキム・ジンスのタックルを受けた宮市が転倒。宮市はプレーを続行できず、森島と交代することになった。その間に訪れたピンチは谷が好セーブでストップ。ビッグプレーで日本のペースを維持してみせた。

 試合はそのまま3-0で決着。日本が勝利をつかみ取り、9年ぶり2度目のE-1選手権優勝を果たした。

「選手たちが自分たちの価値を示す、Jリーグの価値、日本のサッカーの価値を上げようと戦ってくれました。このE-1で優勝して、認めてもらおうとやってくれました」

 森保監督はそう言って胸を張った。優勝をもちろん、Jリーグでプレーする選手たちの価値を高めるというのが、今大会の大きな目標だった。この日の韓国戦には、選手たちのその思いが随所で表れていた。中国戦では相手を攻めあぐねることにもなったが、『優勝決定戦』では3ゴールを集めた上で、無失点で勝利(3試合無失点)。相手のレベルは当然あるものの、結果を出したことで今回、参加している選手が自信を深めたことは間違いないだろう。大会前から、より高いレベルを目指すきっかけとなってほしいとも指揮官は話していた。

 ワールドカップイヤーであり、Jリーグのシーズン途中に国内組中心で戦う大会に意義が問われた大会でもあったが、例えば相馬が、町野がW杯への意欲を示し、自らの力を示したことには大きな意味があるだろう。実際にここからW杯メンバーに入る選手がいるかどうかは分からないが、一つはっきりしているのは、すそ野が広いほど、山は高くなるということ。さらなる層の拡充を促すきっかけとなることは間違いない。

■最終順位(点/勝・分・敗/差)
1 日本(7点/2・1・0/+9)
2 韓国(6点/2・0・1/+3)
3 中国(4点/1・1・1/-2)
4 香港(0点/0・0・3/-10)

先制点を挙げた相馬勇紀。仲間が駆け寄り、歓喜の輪が広がった(写真◎JMPA早浪章弘)