6月14日のキリンカップサッカー2022決勝で日本はチュニジアに0-3の完敗。60分に登場した三笘薫はスタジアムの期待を一身に受けて何度もチャンスメークしたが、ゴールは生まれず。結果を残さないと価値はない、と自分自身を厳しく見つめていた。

上写真=三笘薫が代表での自分の価値を高めるために、結果を残さなければと猛省する(写真◎JMPA毛受亮介)

■2022年6月14日、キリンカップサッカー2022(@パナスタ/観31,292人)
日本 0-3 チュニジア
得点:(チ)モハメド・アリ・ベン・ロムダン、フェルジャニ・サシ、イサム・ジェバリ

「もう少し人数をかけることが必要だった」

 背番号15がピッチに立つと、空気が一変した。60分、左ウイングに入った三笘薫への大きな大きな期待が、スタジアムを包んだ。

「前半の配置として、チャンスのシーンは(伊東)純也くんのところ、サイドで起点を作ってクロスだったので、自分の役割はそこだと思っていました」

 伊東が俊足を生かして仕掛けてビッグチャンスを作るなど、右からのサイド攻撃が機能していた。今度は左サイドの自分の番だ。

 62分、いきなり縦に仕掛けた。味方もついてくることができなかったが、相手2人を引き連れてCKを獲得した。これだけで、調子の良さは明らかだった。

 65分にも、やはり縦へ。相手が警戒してきてもあえて縦へ勝負するプライド。得意の右足アウトサイドでのセンタリングはしかし、DFにブロックされた。

 68分、三たび縦勝負に出た。相手がついてきていたので、確実にぶつけてCKを獲得した。

 83分には左から右の田中碧に大きく振って中央に入ると、今度はフィニッシャーに。マイナスの折り返しをそのまま打ったが、DFに当たってCKになった。

 87分にも左へ走って堂安律からのパスを引き受け、今度は急ストップして横パスで中央の久保へ届けた。やや後ろ側へのパスになったために久保は体勢を崩しかけて、右足でシュートを打つことになった。

 チャンスは何度も作った。それでも、ゴールは生まれなかった。

「シンプルに最後の質と、もう少し人数をかけることが必要だったと思います。チームとして揺さぶりながら攻めることも必要でした」

 三笘が入った時点で、0-1でリードを許していた。1点がほしい場面で、三笘にボールが集まってきた。チームメートもその幻惑ドリブルに期待を寄せた。だが、裏目に出たとするならば、ボールを集めすぎたことかもしれない。もっとバリエーションを持って、攻め急がずに、テンポを作っていくべきだった。そして、三笘が突破したあとにゴール前で合わせる選手の数は、やはり足りなかった。

 そして、自らの課題も明示した。

「途中から出ると、仕掛けたい気持ちが強くなって、自分で行くのか、周りを使って仕掛ける判断にするのかは自分の課題です」

 実際に勝負すれば高確率で突破できるが、それを逆手に取って周囲を使うことでバリエーションを増やせるという感触だ。

「チームの組み立てについてはもっとやっていかないと、毎試合こういう流れになって、自分はいるだけになってしまってカウンターを受けるということは、本大会でやってはいけない。チームとしてどう攻めるのか、いろいろなものを持たないといけないと思います」

 その反省があるから、自分の立場も変わっていないと痛感する。

「ブラジル戦と決勝戦でベンチだったので、連戦で考慮されていると思いますが、結果を出しても入り込めない現状があると思います。個人としてフルで試合に出たときに存在感を出さなければいけないし、今日のような相手に結果を出せないと価値はない」

 自分に厳しいが、それでもこの日、空気が変わった一瞬とその後の圧倒的なチャンスメークによって、このチームに欠かせない、大きな武器を持っていることを証明しただろう。残りはおよそ5カ月。さらなる進化を遂げて、ワールドカップの舞台に立つ。