上写真＝3失点に絡むことになってしまった吉田麻也（写真◎Getty Images）
■2022年6月14日、キリンカップサッカー2022（@パナスタ／観31,292人）
日本 0-3 チュニジア
得点：（チ）モハメド・アリ・ベン・ロムダン、フェルジャニ・サシ、イサム・ジェバリ
「反省してまた成長できる環境を作りたい」（森保監督）
日本の相手、チュ二ジアは2大会連続6回目のW杯出場を決めている国。初戦でチリを下し、この決勝戦に進出してきた。日本もガーナを下し、この試合を迎えた。
日本は序盤、相手のプレスと素早い切り替えに手を焼き、時間の経過とともにサイドを攻略する回数と増やしていく。伊東が快足を飛ばして突破をはかり、35分には右サイドからクロスを供給。走り込んだ鎌田が決定機を迎えたが、ボールをとらえることができず、シュートは力なく枠を逸れた。41分にはCBの板倉がドリブルで運んで最終ラインの裏に浮き球パスを送り、GKと1対1の状況を迎えた南野がシュート。ネットを揺らしたが、オフサイドの判定。サイドから、そして中央からと日本はゴールにつながるルートを探った。
しかし、ゴールをこじ開けることができず、前半は0-0で終了。伊東のスピードや板倉のアイディアで好機を生んだが、ビルドアップ面では詰まるケースが多く、相手を動かすようなボール回しはできなかった。ポゼッションでは日本が上回ったものの、持たされている面もあった。チュニジアの選手たちのタイトな守り、切り替えの早さ、相手のプレスを外す技術の高さを強く印象付ける45分になった。
迎えた後半、日本はビルドアップ面の改善を図る。原口に代えて田中を投入。後方からの預けどころを中盤につくることでボールの巡りをスムーズにすることを狙った。だが、ネットを揺らしたのは、チュニジアだった。
54分、敵陣から送られたフィードをクリアしようと伊藤が競りにいくがボールに触れず、スリマンに入れ替われてしまう。直後にボックス内にクロスを入れられ、ケニシに背後を取られた吉田が後方からスライディングを敢行。相手を倒し、PKを献上することになった。これをロムダンに決められて、日本は1点のリードを許した。
60分、日本は浅野に代えて古橋、鎌田に代えて三笘をピッチに送り、1点を取りにいく。三笘が何度も左サイドで仕掛けてボールを運ぶが、堅守を誇り、アフリカ2次予選と最終予選の8試合でわずか2失点しか喫していない堅守のチュニジアのネットを揺らせない。71分には南野から久保、伊藤から堂安とアタッカーを入れ替えてさらなる攻撃の活性化を図った。
だが、次の1点は日本の同点弾ではなく、チュニジアの追加点だった。GKのロングボールからボックス内に落とされ、背走した吉田と板倉の間をムサクニに割って入られる。そのままボールを奪われると、クロスを許し、最後はサシに決められた。
2点のリードを許した日本は残り15分、攻撃的な姿勢を強めてゴールを奪いにいった。だが、チュニジアも最終ラインの人数を5人に増やして対応。攻めの急先鋒となっていた三笘はスペースを消され、次第に攻めの形をつくれなくなっていった。
試合は結局。0-3で終了。キリンカップを掲げたのは日本ではなく、チュニジアだった。
「ホームで戦うということで日本では絶対に負けたくない、勝ってサポーターの皆さんに喜んでいただくことができなかったのは残念だったと思っています。ただ結果は非常に残念でしたけど、選手たちにはいろんな選手、システム、難しい環境でプレーしてもらうことで、選手たちに責任はないと思います。しっかりトライしてくれたことが、今日の反省を踏まえてまた成長していける環境を作れればと思います。
（6月シリーズは）ワールドカップにつながる、選手個々、チームがいろんなバリエーションの中で選択肢を持って戦えるチーム力のアップにつながったと思います。（選手には）このままトライを続けてほしい。今日の敗戦を踏まえて、この悔しさをバネに次の成長につなげていこうと伝えたい」
試合後、森保一監督は敗戦を受け止めた上で、成長につなげたいと語った。GKにシュミットを起用し、左サイドバックに伊藤、中盤に原口、鎌田を並べるなど、日本はこの試合でも組み合わせを『トライ』した。だが、結果を出すことはできなかった。むろん、この試合はテストマッチであり、ここから何を学び、成長につなげるかが重要だが、積み上げてきた「つなぐ」というベースの部分でも、現時点では人が替われば問題を抱えてしまうレベルにあることが明らかになった。
7月に開催されるE-1選手権は国内組で臨む予定で、9月の代表活動は欧州で行われる模様だ。海外組を組み込んだ代表チームの試合としては、この試合がW杯前、最後の試合だったかもしれない。しかし日本は、勝利をつかむことができなかった。20年前の同じ日、同じ大阪で行われた日韓W杯のグループステージ第3節チュニジア戦では2-0で勝ち切ったが、あの日の再現はならなかった。