6月10日のキリンカップサッカー2022で日本がガーナに4-1で快勝。柴崎岳はインサイドハーフとしてフル出場を果たした。このポジションは田中碧や守田英正、鎌田大地らがプレーしてきたが、その誰とも異なる柴崎ならではの「ブリッジ」の魅力を披露した。

上写真=柴崎岳はインサイドハーフとしてプレー。独特の魅力を放った(写真◎JMPA早浪章弘)

■2022年6月10日 キリンカップサッカー2022(@ノエビアS/観衆25,100人)
日本 4-1 ガーナ
得点者:(日)山根視来、三笘薫、久保建英、前田大然
    (ガ)ジョーダン・アユー

「守り方、攻め方は整理しておくべき」

 遠藤航と柴崎岳の名前がスターターリストに書き込まれ、ブラジル戦の途中から採用した2人をボランチに並べる4-2-3-1の布陣でスタートする可能性も考えられたが、そうではなかった。遠藤をアンカーに置き、その左前のインサイドハーフに柴崎が、右インサイドハーフに久保建英が入った。

「どちらかというと、タケ(久保)が10番タイプで、リンクマンとして航がいて、その間をサポートしようと思っていました。航が出ていったときには空いたスペースを埋めようと思ったし、タケが左に流れてきたら違うサイドに流れていくとか、そんなに指示するということはなくて自由に動かしながら、その逆を行くことを意識していました」

 この一言に、柴崎が生かそうとする自らの強みが集約されているのではないか。久保の、遠藤の特徴が最大限、生きるために、自らのアクションを選んでいく。「逆」という言葉を使ったが、彼らの自由さを損なわないようにバランスを取って仲間をつないでいくブリッジのタスクである。

「選手のスタイルや特徴を生かし合うような関係性や動き方を磨いていければ、今回の航と僕とタケの3枚だけではなく、いろいろな使い方ができると思います。コンディションに不具合が生じたりケガ人が出たときの選択肢は持っていたほうがいいし、それぞれの特徴や守り方、攻め方は整理しておくべきかなと思っています」

 14分には堂安律が右から中にドリブルで入って、右に流れた上田綺世に預け、戻したボールを山根視来がクロスを送ったシーンがあった。これに合わせてニアに突っ込み、ヘッドで狙ったのが柴崎だった。

「個人的にゴール前に入っていくタイミングがあれば、できれば入っていこうという意識はありました。何でもかんでも入っていこうということではなくタイミングが合ったときにですけど、そういうシーンがあったということは、サイドから深く入ってタイミングを作れたことではないかと思います」

 ゴール前にまで入ってフィニッシュワークを担う。つなぐだけではなく、仕留めるのもインサイドハーフの仕事である。

 堂安の先制アシスト、久保と前田大然の代表初ゴールや、三笘薫の1得点1アシストと、東京五輪組が勇躍して、心地よい喧騒がスタジアムを包んだ。しかし、これとはまさに「逆」の静けさで、柴崎が語る未来への思索は深い。最終予選で出番が減っていた中で、この6月シリーズは個人としても重みを持つ。そこで披露した「ブリッジ」としてのインサイドハーフで、柴崎岳ここにありを見せたのだった。