ブラジル戦では73分からピッチに飛び出した三笘薫は、世界最高峰の相手にドリブルで仕掛けて現在地を探る挑戦を果たした。2度にわたってストップされる悔しさと同時に、得たものもある。それをガーナ戦でもう一度トライして。「もっと怖い存在」に進化していく。

上写真=ミリトンに挑む三笘薫。抜かせてもらえなかった反省をガーナ戦に生かす(写真◎JMPA小山真司)

「思考の部分は改善できることが多かった」

 三笘薫のドリブルが、封じられた。世界ランク1位のブラジルを相手に、エデル・ミリトンに仕掛けた突破が、2度に渡って止められた。

 レアル・マドリードに所属するスピード自慢のセンターバックとの勝負。

「ミリトンが速いのはわかっていたので、自分のドリブルがどれだけ通用するのか知りたかったんですけど、2本止められているので、そういう実力だとわかったのは良かったです」

 試合直後でも冷静だった。どこに基準があって、自分がいまどのレベルにあるのかが「わかった」という事実が大きい。

「得意な形で仕掛けようというところはできましたけど、強さもスピードもまだまだ足りないと感じました。時間があまりなかったので仕掛けることを意識していましたけど、流れを変えられませんでした」

 途中出場の選手に求められるのが「形勢逆転」であることは間違いない。ワールドカップ最終予選、アウェーのオーストラリア戦でそれをやって、2ゴールを決めたのは記憶に新しい。でも今回は、できなかった。

「僕自身の1本目の仕掛け方を見て、2本目は立ち位置や体の向きで対応されました。自分も早く切り替えなければいけなかった」と相手の適応力の早さを認めた上で、「途中出場で時間がない中で、もう少しシンプルにプレーするところがあってもよかったと思っています。周りを見るところは足りなかった」というのが、試合直後の反省だった。

 改めて日を置いて、改善できるポイントがより明確になっていった。

「スピードやフィジカルはもちろん、判断のスピードやポジション修正、格上だけどピッチ内でどれだけ冷静に優位になるようにもっていけるかの思考の部分は改善できることが多かったと思います」

 どちらかというと「頭の中」の問題だったということだ。速さや強さは一朝一夕に変わらないが、思考を研ぎ澄ませることはすぐにでもできる。

 それを試す絶好の機会が、6月10日、キリンカップのガーナ戦だ。

「ブラジルの選手よりスピードが速い選手もいると思います。自分がスピードで勝てない相手にどう打開するかがカギになると思う」

 単純なスピードで勝負しないときの攻略法は、ベルギーでの1年で経験したことを生かせばいい。

「身体能力が高い選手でもウイークがあると感じました。日本にいるとわかりにくいですけど、向こうに行ってわかったので、少し嫌がらせるようにしたりポジションで優位に立ったり、細かい動きでダメージを与えられると思います」

「もっと怖い存在だと認識させるようにプレーすることです。シュートやドリブルの形やクロスのところのバリエーションとその質かなと思っています」

 シュートもドリブルもクロスも見せながら、脅威だと思わせる。三笘にとっては、そのための挑戦がガーナ戦での大きなテーマになる。