上写真=柴崎はブラジル戦で81分から交代出場。アディショナルタイムも含めて10分ほどのプレーだった(写真◎JMPA小山真司)
「外からしか突破口を見いだせなかった」
6月6日に国立競技場でブラジルと対戦した日本は、終盤まで0-0で試合を進めたものの、77分にPKで失点し、そのまま0-1で敗れた。81分から交代出場した柴崎は、カタール・ワールドカップ(W杯)を視野に結果や内容への多くの意見があることを踏まえて「さまざまな評価軸や論調があるのは非常に良いこと」とコメント。「ポジティブな側面もあれば悲観的な側面もあり、僕が見ている限りでは、どちらもあるなという感覚。それ自体は悪いことではないと思う」と続けた。
とはいえ、やはり勝てなかった事実に満足はしていない。「ホームで、僕らのモチベーションや状況的に、勝つという目標に対しては限りない(良い)条件がそろっていたと思いますけど、やはり試合内容としては十分ではなかった」と語り、「彼ら(ブラジル)も、どれほどの気持ちやモチベーションを持って臨んだのかは分からないですが、結果を手にしたのは間違いない。内容を見ても運に助けられたというか、少しのアヤで失点もするし、今回のように1点、もしくはゼロで抑えられたという可能性のあるゲームだったと思う」と自身の考えを述べた。
さらに、無得点に終わったことについても「ああいった流れの中で、ポコンと1点取れなかった状況にあるかというと、そうではなかったんじゃないか」ときっぱり。「(カタールW杯)本大会や違ったシチュエーションの試合で、何とか攻勢のときに点が取れると、また違った展開になるんじゃないかと見ていた」と明かした。
ドイツとスペインがいるグループステージ突破を目指す5カ月後のカタールW杯に向けて、今回のブラジル戦は世界トップレベルの物差しともなるが、「たった5カ月で世界のトップレベルと伍していくことは不可能。いまの日本の現状を考えても、最適なアイディアではないんじゃないかと思う」というのが柴崎の意見。当然あきらめているわけではなく、「何が起こるのか分からないのがサッカー。いまの自分たちの力や、日本が持っている力を、どう引き出して、どう相手と戦っていくか。可能性を探し続けて、ワールドカップの開幕戦や2戦目、3戦目と可能性を見いだしていくために、やっていくことが最適なのではないかと思っている」との視点からの考えだという。
その上で日本代表の現状を「ある程度の形を持って、守備も攻撃も自分たちでイメージを保ちながらできるようになっている。という反面、その型にはまり過ぎてしまう危険もある」と分析。「とりわけパターンみたいになってしまうと、相手も分かりやすく対応できる。ウチで言えばサイド攻撃で、ブラジル戦で言えば正直、中(中央)でのコンビネーションは皆無に近いような状況。どちらかというと、外からしか突破口を見いだせなかった」と振り返った。
解決策として「選手のキャラクターを変えて、違う戦い方を模索していくのはアリかなと思っている」と語った柴崎は、「例えば、いままでだったら(FWは)大迫(勇也)選手がメインでやっていて、いまいる(古橋)亨梧や(前田)大然、(上田)綺世とはキャラクターが違う。彼らが出たときに同じサッカーが期待できるかというと、それはまた違ったレベルの話になる」と強調。「誰が出ても同じレベルの戦いができることを追求するのは良いことだと思うのですが、『誰が出ても同じレベル』という言葉ではなく、『誰かが出て違う戦い方ができる』という考えでいかないと、変化は生まれないのかなと思う」と自身の考えを説明した。