日本代表は6日、国立競技場でFIFAランキング1位のブラジル代表と対戦した。前半はよく粘り、0-0で後半に折り返したが、77分にPKで失点。スコア的には惜敗であり、実際、粘り強い守備など収穫も多かったが、積み上げてきたものではまだ強豪に「勝ち切る」ことは難しかった。

上写真=日本は粘り強さを発揮したが、0-1で敗れた(写真◎JMPA小山真司)

■2022年6月6日 キリンチャレンジカップ2022(@国立競技場/観衆63,638人)
日本 0-1 ブラジル
得点者:(ブ)ネイマール

攻めの形はなかなかつくり出せず

 過去12回の対戦で10敗2分け。日本はブラジルに1度も勝ったことがない。しかも相手は目下、FIFAランキング1位。

 予選を無敗で突破したセレソンは、近年では最強と言われるチームだ。2002年に最後のW杯に優勝した場所、日本でその実力を前半から証明し、カタールW杯で20年ぶりの優勝へ弾みをつけたいところだったろう。だが、日本がアグレッシブなプレーと粘り強い守備で、王国にゴールを許さない。テクニックでプレスを回避され、眼前に立ちながらもたびたびパスを通された。少ない人数で高速カウンターも仕掛けられたが、日本の選手たちは集中力を保ち、球際で戦った。

 長友がヴィニシウスと距離を詰め、体をぶつけ、スピードに乗らせなかった。板倉は日本のアンカー・遠藤の脇に下がってボールに触るネイマールを見張り、ドリブルや進入してくるたびに体を張ってシュートを阻止した。これら粘り強い守備については、この日の試合の収穫として森保一監督も評価していた。

 日本も57分には右サイドを攻略。伊東のパスに抜け出した長友が低いクロスを送るとDFにクリアされたが、田中がこぼれ球をシュート。相手に当たり、枠に飛ばなかったが、惜しい場面を生み出した。

 その後、70分を過ぎ、日本は南野に代えて三笘、伊東に代えて堂安をピッチに送り、ゲームを動かしにかかった。だが、スコアを更新したのは、ブラジルの方だった。ボックス左に進入するとネイマールがシュート。至近距離のシュートを日本が鋭い反応で権田がストップしてみせたが、その次の瞬間、リシャルリソンと遠藤が接触。日本はPKを献上してしまった。

 これをネイマールに決められて、0ー1。天敵に5戦連続でゴールを許すことになった。日本は、田中に代えて柴崎、長友に代えて山根を投入。システムを4ー3ー3から4-2ー3ー1に変更し、鎌田とトップ下に配して攻勢に出た。前田のハイプレス、三笘の突破、堂安のカットインと途中出場の選手たちがゴールを目指していくが、ブラジルもどっしり構えて要所を締めてその攻めを受け止める。三笘がボックス内で倒される場面もあったが、PK獲得とはならなかった。

 試合はそのまま0-1で決着。ただスコア的に惜敗と映るその中身は、守備面では随所に良い面が見られたものの、攻撃の精度やバリエーションについてはまだまだ向上することが必要であることが確認できた。崩しのパターンはあまり見られず、ビルドアップの局面でも吉田のパスミスからピンチを招く場面が散見。試合後、森保一監督は収穫と課題を口にしている。

「選手にはアグレッシブに戦うこと、我慢強く戦うこと、今日表現しようと送り出して、ブラジル相手に我慢強く戦えるところは我慢強く戦えて、攻撃のところでチャレンジするところはしっかりチャレンジしてくれたと思います。ただ、やはり勝つためにはまだまだクオリティーを上げていかないといけない。選手が十分、世界と戦っていける、勝っていけるということを示してくれたと思うので、選手たちとともにすべてのレベルアップをして、われわれを応援してくれているサポーターの皆さんに喜んでいただけるように頑張ります」

 収穫としては粘り強い守備。一方で攻撃面では、相手のゴールをこじ開けられなかったことに、改善の必要性を感じていた。W杯本大会に向け、現在地を知る意味でも重要と位置付けられた一戦。戦前、積み上げてきたベースで戦うと指揮官は話し、実際、その通りに戦ったが、本大会でベスト8以上を掲げることを考えれば、指揮官の言葉通り、それだけでは「まだ足りない」と言えるだろう。収穫もあった守備にさらに磨きをかけ、攻撃はより急ピッチで、高いレベルを目指すことが必要だ。鎌田の登場後は落ち着きが生まれ、中から外への攻めの形も何度か見られたが、アジア最終予選で見せた構成力も、この日は発揮することはできなかった。

 6月シリーズは残り2試合。すべてでレベルアップするために、その貴重な機会を有効に活用して、カタールW杯への準備を進めたいところだ。