上写真=パラグアイ戦はベンチスタートとなった久保建英(写真◎JMPA江本秀幸)
パラグアイ戦は焦りが出た
パラグアイ戦は71分に堂安律に代わってピッチに入り、約20分あまりプレーした。6月シリーズの初戦に出場したものの、久保の自己評価は厳しい。「代表に帰ってきて、いったんフラットな状態から1試合目でしたが、正直、焦りはあった。普段は試合に出ていなくても、どこか冷静に出番を待っている自分もましたが、この前の試合はいろいろと考えることがあって、うまく試合に入れなかった」。
代表チームにおける立場、ファーストチョイスではない現状を理解している。チームが4-3-3をベースとするなら、その起用法からして久保はサイドのアタッカーとして考えられている。左は南野拓実、三笘薫。右なら伊東純也、堂安律。はた目には三番手と映る。
「うまくいっていた中でのケガがもったいなかったなと思います。今年はケガに悩まされたというか。ケガのあとはあまりうまくいかなったので、そこが一つ、悪い意味でのターニングポイントになってしまった。その中でも一度もらったチャンスをフイにしてしまって、今また代表の中では、底からのスタートということになったので」
その変化に、適応するのが難しかったと率直な思いを語った。
「這い上がるのは難しいですけど、割り切ってやりたい。この前の試合(パラグアイ戦)はその意味でちょっと焦りとかが出て、自分の良いプレーは出せなかった。でも次はイチから割り切ってできると思うので、今後はそういう焦りはないと思います」
パラグアイ戦と同じ轍は踏まないということだろう。心と体としっかり整えて、自身のパフォーマンスを発揮するだけだ。次戦のブラジル戦へ向けては、意欲と自信を口にした。
「僕からしたら初めてなので、こんな格上のチームと代表で試合するのは、ワクワクはしていますね」
「僕はビッグゲームで満足いかなったことがない。格上の相手に『ああ僕、消えていたな』とか『僕、負けていなたな』と思ったことがプロになってからあまりない。やれると思うので、あとはどういう形か。それこそチームがうまくいっていて自分の出番がないとか、チームがうまくいっていなくて残り15分くらいで出されるという可能性もありますし、色んな可能性を考えながら感覚だけは研ぎすませて。出たらやれないことはないと思います」
トップレベルのチーム、選手と日常的に対峙してきた久保はブラジルに対してもまったく臆するところがない。良いプレーをして、勝利につなげ、自身の立場を変えていくだけ。
「W杯でスペイン、ドイツとやれるチャンスは過去を見てもあまりない。最初から強い相手とやって、勝つようなことがあれば確実にチームを排除できるし、上を目指していかなければいけない日本代表チームに選ばれるように、まずは残り5カ月を頑張って、チーム探しも今回は色々と加味して、幅広く視野を持って良いチームを決めたい。それこそブラジルにはビッグクラブでレギュラーの人が、この間の韓国戦はベンチ外なんてこともあったので、かといって日本代表はそうじゃないのが現状。例えば僕がこのままボンとステップアップして、そこでレギュラーになったら。そういったことも考えていますね、最近は」
代表は「誰が出てもいいパフォーマンスをすれば代表は評価してくれる場」だと久保は言う。
「現状チームもいいですし、これからあと3試合どうなるかわからないですけど、W杯なんてサプライズがあって当たり前だと思うので。自分がここから目指せるものとしてはいい意味でのW杯でのサプライズに。大切のは本番ってこの間、原口選手も言っていたので、そういう良いサプライズになれればと思います」
久保はこれまでキャリアの中で自身の立ち位置を思い描き、「漫画の提出期限じゃないけど、締め切りみたいなものをある程度決めてサッカーをやってきた」。その中で「何個か遅れたりはしましたけど、予想の範疇でやってきた」という。それが今、少し遅れ始めている。ここから立場を変え、メンバー入りを果たし、カタールのピッチで先頭に立って世界にサプライズを起こすことができるか。
「いま僕ができることを。人は3カ月もあれば変われるので。自分はここから虎視眈々とチャンスを狙っていきたい」
残り5カ月。久保の戦いは続く。