新キャラクターが日本を強くする。伊藤洋輝が6月2日のキリンチャレンジカップ2022初戦のパラグアイ戦でフル代表デビューを果たすと、前半は左サイドバック、後半は左センターバックで堂々としたプレーぶりを見せて、強烈なインパクトを残した。

上写真=伊藤洋輝の代表デビューは堂々のプレーぶり!(写真◎JMPA江本秀幸)

■2022年6月2日 キリンチャレンジカップ2022(@札幌ドーム/観衆24,511人)
日本 4-1 パラグアイ
得点者:(日)浅野拓磨、鎌田大地、三笘薫、田中碧
    (パ)デルリス・ゴンサレス

「ミスから失点につながったので…」

 これが日本代表デビューか、と思わせるほど、落ち着き払ったプレーぶり。伊藤洋輝がサバイバルレースに強烈に名乗りをあげた。

 186センチのサイズがあって、左利き。前半は4バックの左サイドバック、後半は左センターバックと2つのポジションをこなし、所属のドイツ1部リーグのシュツットガルトでは3バックの左でプレーする多様性もある。それを伸びやかに披露した、魅力あふれる90分だった。

「自分も上がれるタイミングがあったからこそ行きましたけど、(三笘)薫くんが1対1の状況ならドリブルするスペースがあったほうがいいし、自分が行くか行かないかは共有しながらやっていきたい」

 開始5分でいきなり見せつけたのが、そのオーバーラップ。右サイドの堂安律から一気にサイドチェンジ。左サイドいっぱいでボールを収めた三笘の内側を走ってニアゾーンでボールを引き出した。これをマイナスに戻すと堂安が左足でフィニッシュ。GKに阻まれたものの、サイドアタックにおける有効性をいきなり示してみせた。

「何度か薫くんとのコンビでチャンスを作れたけれど、クオリティーと回数を増やさないといけない」

 ミドルレンジのパスも効いた。36分の先制のシーンでは伊藤が左深くからセンターサークルにいた浅野拓磨にパスを届けたことがきっかけだった。これを落として原口元気が持ち出しながら鮮やかなスルーパス、中央で受けた浅野がチップキックでGKを抜いた。

「僕はプレッシャーをかけられたので、回避するためになるべく低く蹴ろうとしたんですけど、高くなってしまって、拓磨くんが収めてくれて感謝しています」

 CKからヘディングシュートを2本、放っているし、球際でのバトルでも負けない。ワールドカップへ向けて、楽しみな存在が飛び出してきた。

 ただ、パスミスで失点したことを猛省する。59分、左サイド深くで奪ったボールを前につけようとしたところで、相手に直接渡してしまい、つながれてゴールを割られた。

「完全に読まれていたので、あそこでセンターバックがリスクをかけてまで縦パスを入れるべきではない。ミスから失点につながったので、二度とないようにリスクを負わないようにしなければ」

 それでも、高さと速さがあって、複数ポジションをこなせるのは大きな魅力だ。ワールドカップのメンバーに食い込める可能性は「まだない、というか厳しい戦いなので、どうチームに、勝利に貢献できるか」と慎重だ。そんな記念のファーストマッチは、仲間のおかげと感謝する。

「薫くんや(吉田)麻也くん、(鎌田)大地くん、(遠藤)航くんもいいサポートをしてくれたので、楽にというわけではないですけど、リラックスしてプレーできました。攻撃に絡む回数や得点に絡む回数を増やしていきたいと思います」

 大きな大きな期待を抱かせる、最高の代表デビューになった。