日本代表は2日、札幌でパラグアイと対戦した。カタールW杯に向けた強化試合の一環だが、選手にとっては代表生き残りを懸けたアピールの場でもある。果たして最終予選終盤で出番の限られた選手、初招集の伊藤洋輝が先発した日本代表はそれぞれが特長を示してパラグアイに4-1で快勝。指揮官を悩ませる好材料をいくつも提供するゲームになった。

上写真=原口のスルーパスに抜け出した浅野が先制点をスコアした(写真◎JMPA江本秀幸)

■2022年6月2日 キリンチャレンジカップ2022(@札幌ドーム/観衆24,511人)
日本 4-1 パラグアイ
得点者:(日)浅野拓磨、鎌田大地、三笘薫、田中碧
    (パ)デルリス・ゴンサレス

交代:【日】遠藤→板倉滉、吉田→中山雄太、浅野→前田大然(以上46分)、原口→田中碧(62分)、堂安→久保建英(71分)、三笘→古橋亨梧(83分)/【パ】ロメロ→ヘスス・メディナ、アバロス→アンヘル・ロメロ、R・サンチェス→A・C・ルセナ(65分)

選手が持ち味を存分に発揮

 試合前日の会見で森保一監督が話していた通り、パラグアイ戦に先発したのは最終予選終盤のレギュラー組ではなかった。システムは4-3-3と同じだったものの、その顔ぶれが違う。

 GKはシュミット、DFは右から山根、谷口、吉田、伊藤洋、MFはアンカーを遠藤が務め、右インサイドハーフに原口、左に鎌田が入り、3トップは右から堂安、浅野、三笘。

 これまで一緒にプレーした時間が限られているため、連係面が心配されたが、前半から何度も連動したプレスで相手を囲んでボールを奪い、攻めの局面になれば、連動してパスコースをつくり、前進を可能にした。

 強度の高さと切り替えの早さで上回ると、パラグアイ守備陣に後手を踏ませる。右インサイドハーフを務めた原口のアグレッシブで献身的なプレー、右ウイングに入った堂安のサイドチェンジとカットイン、左サイドバックの伊藤洋の正確なキックとタイミングの良いオーバーラップは実に効果的で、日本が優勢にゲームを進めていった。

 最初にネットを揺らしたのも日本だった。36分、自陣から伊藤洋が1トップで相手DFを背負う浅野にドンピシャのパスをつけて、その落としを原口が拾ってスルーパス。走り込んだ浅野がフワリと浮かすシュートで先制に成功した。

 日本はその後も勢いを継続した。右サイドでボールを持った堂安が左足をクロスを供給。相手ディフェンスラインの間に入り込んでいた鎌田がヘッドでとらえるとGKに当たってゴールイン。リードを2点に広げた。迎えた後半。スタートから日本はメンバーチェンジを行なった。浅野に代えて前田、遠藤に代えて板倉、吉田に代えて中山を投入。中山は左サイドバックに入り、伊藤洋が左CBに移った。

 ややバランスに狂いが生じたか、59分にはポジションを移した伊藤洋のパスを自陣でカットされ、失点してしまう。相手にパスをつながれ、最後は谷口がフェイントで外されてデルリス・ゴンサレスにゴールを許した。だが、この日の日本は積極性を失わうことがなかった。直後の60分に敵陣に反攻してみせる。原口が中央からボックス左の三笘へパスを通すと、三笘は繊細なファーストタッチでシュートできる場所にぼボールを置く。GKの位置を見極め、逆サイドにシュート。再びリードを2点に広げてみせた。

 70分には堂安のスルーパスに反応した鎌田が倒されてPKを獲得。キッカーを務めた堂安のキックは相手に止められ、こぼれ球に反応した山根のシュートは枠を捉えなかったが、日本はその後もボールを積極的に動かしながら、前田や途中出場の久保、古橋がゴールに迫った。そして85分にはボックス外から田中がミドルシュートを決め、チームの4点目をスコア。直前にボールをロストしながら素早い切り替えで奪い返した前田の献身的なプレーも光った。

 試合はそのまま4-1で決着。出場した選手の多くがアグレッシブな姿勢とプレーを披露し、チームのために戦って勝利に大きく貢献した。選手を見極める立場にある森保監督にとっては、うれしくも頭を悩ませる材料をいくつも提供されたと言えるだろう。

 カタールW杯のシミュレーションでもある6月シリーズの初戦を快勝で終え、チームは中3日で世界ランキング1位のブラジル戦に臨むーー。