昨年10月のオーストラリア戦の頃よりもゴール前に顔を出す回数が確実に増えている。現在の日本代表で3トップの左ウイングを務める南野拓実のことだ。本人も向上を認める一方で、さらに良くなるとの手応えもつかんでいる。

上写真=オーストラリア戦で先発し、W杯出場権獲得に貢献した南野拓実(写真◎Getty Images)

やりやすくなっている

 費やした時間は、非常に意味のあるものだった。昨年10月のオーストラリア戦で日本が初めて4-3-3を採用した時、南野は所属するリバプールで実践しているように、外切りプレスで相手のビルドアップに制限をかけ、守備面で貢献したが、一方で攻撃面では周囲と呼吸が合わず、ゴールに迫る回数も限られた。

 しかし試合を重ね、トレーニングを積むことで日本の4-3-3における動き方を理解し、周囲との呼吸も合ってきた。24日のオーストラリア戦では前半から何度もボックス内に進入し、シュートを放った。日本のストロングポイントである右からの突破を生かし、左から南野が内に入ってフィニッシュワークを担う形が何度も見られた。

 また、スペースを空けて外回りで攻め上がる長友佑都の持ち味を引き出し、自らは内に入ってゴールを狙うパターンもピッチで表現した。ネットを揺らせなかったために本人に「満足」感はないものの、確かな手ごたえは感じていた。

「試合時間が増えるにつれて、自分もこのチームのあのポジションというのはやりやすくなっているし、どうやってゴールに向かっていくかというのは常に考えてプレーしてきたので、そういう意味でも、少しずつ良くなってきている部分はあるかなと思います」

 南野はW杯出場を決めたオーストラリア戦の試合直後にも、「予選を突破できてよかったですが、ここは通過点でW杯が本番。そこに向けて頑張っていきたい」と、ここから本大会までの過ごし方が需要になると指摘していた。出番が訪れれば、ベトナム戦でもチームのために自らの役割を全うするつもりでいる。そして自チームのリバプールに戻れば、出場機会を得るために変わらず努力する決意だ。

「チームに帰って常にチャンスがあるわけではないので、少ないチャンスを生かして、質を求めていきたい。インテンシティーという部分ではアジア予選よりも高いので、次のW杯とかレベルが上がった相手と試合をするときに必要になる部分だし、高めていきたい。コンスタントに試合に出続けられるように、良いアピールをしていければと思います」

 世界有数のチームに所属し、世界のトップ選手がひしめくでリーグで戦っている。日々の研鑽は、そのまま日本代表のレベルアップにつながっていくことになるだろう。W杯の開幕まであと8カ月。海外組が代表として活動できる機会は、今夜のベトナム戦と6月、9月の代表ウィーク、そして大会直前しかない。限られた機会を無駄にせず、南野はすべての試合、すべての練習に全力を注ぐつもりだ。