上写真=谷口彰悟はベトナムのカウンターを警戒し「リスク管理が大事になる」(写真◎スクリーンショット)
「やらないほうが相手が嫌がることもある」
谷口彰悟は、ワールドカップ出場を決めたアウェーのオーストラリア戦には出場することはなかった。1月の中国戦、2月のサウジアラビア戦で完封での連勝に貢献していたが、その勢いを直接ピッチの上でつなげることはできなかった。
しかし3月29日、ワールドカップ最終予選のラストマッチ、ベトナム戦では出番があるかもしれない。森保一監督が大幅なメンバーチェンジを明らかにしており、谷口もチャンスをうかがう。練習ではセンターバックで吉田麻也とコンビを組むシーンも。
「コミュニケーションは今日も明日も取っていかなければいけないと思います。守り方の感覚のすり合わせはもうちょっとやっていかないと、という思いでいます。でも、吉田選手は経験豊富なので、僕は何も気にすることはありません。好きにやらせてもらう、というところまでではないけれど、あまり考えずにやっちゃっていいと思います」
そうやって笑ったが、ワールドカップ本大会に向けてはこのベトナム戦から準備と競走が始まるだけに、何でもかんでも好き勝手に、というわけにはいかない。それでも、強みを十分に披露する準備はできている。中国戦やサウジアラビア戦では、攻撃の起点になる持ち運びやパスを生かして新たなリズムを日本代表に持ち込んだ。ベトナム戦に出場するなら、ワールドカップのメンバーに選ばれるために自分が有用であることを示さなければいけない。
「センターバックは比較的余裕を持ってボールを握る時間が増える予想はしています。持ち運んだりパス一本で相手がどう動くのか、どう食らいついてスペースを空けるのかは頭の中でシミュレーションしている最中です。ゴールに直結するパスを出せたり、くさびで差し込むようなパスをどんどん出していけるのは持ち味の一つで自信があるので、もっとトライしたいと思います」
ただ、あえてその強みを出さない判断ができることも、強みかもしれない。
「それをやらないほうが相手が嫌がることもあるので、そういうときには自分が時間を使うのではなくて、ほかの選手に時間を預けてテンポを出す作業をしていきます。そこは試合に入ってからの使い分けですね」
自分の強みだけに頼らないことが、チームの強みになる。そう判断できれば、いくらメンバー入りの競争の中にあっても、そちらを優先する分別は持っている。相手を見てプレーを選択することも、強みの一つだからだ。
攻撃のリズムを生み出すことができて、左足でボールを扱うことのできるセンターバックは貴重。強みを出して、もしくは強みを消すことで別の強みを生んで、ワールドカップへの道を力強く歩くつもりだ。