上写真=林大地はオーストラリア戦はベンチ外だったが、「自分が中心になって出たい」の気持ちを強めた(写真◎Getty Images)
「自分もお客さんではない」
成功のモデルは、自分自身だ。
2021年3月にU-24日本代表に初めて追加招集されてから、林大地のサッカー人生は加速した。そのまま東京オリンピックのメンバー入りを果たし、3位決定戦までの6試合中、5試合で先発とレギュラーを勝ち取った。大会後にはサガン鳥栖からベルギーのシント=トロイデンに移籍、そしてあれから1年後のいま、ワールドカップ最終予選を戦う日本代表のメンバーに入った。
今回も、大迫勇也が負傷で辞退したことによる追加招集。「自分ではあまり気にしていない」と言うが、1年前に似た背景での初代表で、この1年のストーリーをさらに上回るような成長曲線を見たくなる。
「自分もお客さんではないと改めて思いました」
どんな形で呼ばれたとしても、勝てばワールドカップ出場が決まる決戦の一員になった責任感が体を貫く。
「正直、この前のオーストラリア戦をA代表の一員として、ピッチ外でしたけど同じ思いで戦って、先輩方や同い年の選手たちが戦っている姿を見て、他人事とは思えませんでした。自分が中心になって出たい、競争の中に入っていきたいと強く思いました」
成功体験が自分自身の中にあることは大きい。自らがたどってきた軌跡をもう一度なぞることが、ワールドカップ行きを実現するヒントになる。
「オリンピックでは、まさに去年3月まで一度もアンダー世代でも代表に選ばれたことがなかったけれど、いくらでも序列はひっくり返せることを自分が体験しました。でも、中途半端な気持ちや準備だったら起こることも起こらない。イメージはできているというか、自分にある可能性を信じてしっかりやるしかない」
その可能性を誰にでもわかりやすく表現する形は、やはりゴール。
「やっぱり得点ですよね。オリンピックでも試合には出ましたけど点は取れていないし、フォワードは点を取ってなんぼだと思うので、点が取りたいです」
恐れを知らない激しさと泥臭さで見る者の心を打ってきた。ベルギーに渡り、その強度はさらに増している。この1年で林が手にしたものを日本代表でもピッチで見せるときが、3月29日のベトナム戦でやってくるかもしれない。
「改めて代表にいる選手とサッカーをするのは初めてだったので、楽しかったし、自分の特徴を見せていかないとチャンスは転がってきません。自分からチャンスをつかんでいきたい」
そのときが巡ってくれば、遠慮するつもりはない。