上写真＝板倉滉は勝利をかみ締めながら、センターバックのコンビを組んだ吉田麻也と抱き合って喜んだ（写真◎Getty Images）
■2022年3月24日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第9節（@オーストラリア・シドニー）
オーストラリア 0-2 日本
得点:（日）三笘薫2
「めっちゃうまいやつがいるなと思って」
笑顔が止まらない。板倉滉は自身初めてのワールドカップ最終予選で見事に突破を果たして、本大会の出場権をもぎ取ってみせた。
1月の中国戦、2月のサウジアラビア戦で吉田麻也と冨安健洋というセンターバックの中心2人が欠場。板倉はこの2試合に連続でフル出場して、2-0の完封勝利に貢献した。続く3月24日のオーストラリア戦には吉田が帰ってきたが、冨安は引き続き欠場で、吉田のパートナーに選ばれたのが板倉。ここでも2-0の勝利に貢献して、3試合続けて完封勝利を果たしているのだ。
「最低限、0-0で試合を進めるのは僕の役割」と自覚してピッチに入った。勝てばワールドカップ予選突破が決まるとはいえ、アウェーのオーストラリア戦はいつも難しい。チームの共通意識が「無失点」にあったから、センターバックとしてそのミッションを完遂できたことは自信になる。
吉田が左、板倉が右という立ち位置になったが、「僕が右に行きたいと言いました」と明かす。「最近シャルケでも右でやることが多かったので」が理由だが、谷口彰悟と組んだここ2試合でも右だったから、そこからの安定感を担保することにもなった。
大雨で足元が柔らかいという、守備側にとっては気になるコンディションで、実際にオーストラリアはフィジカルの優位性を利用した攻撃を仕掛けてきた。それでも、慌てることなくはじき返して、板倉自身の「3試合連続完封」を達成した。
最後に2ゴールを決めてド派手な活躍を見せた三笘薫は、川崎フロンターレのアカデミーの後輩だ。
「今日もめっちゃうまいやつがいるなと思って、後ろから見ていました」と惚れ惚れだ。「最後にきれいに持っていってチームを楽にしてくれましたし、小学生から知っている薫が決めてくれて個人的にうれしかったし、ありがたいですね」
板倉も安定感をもたらす守備で堂々と貢献した。ただ、この3試合で示した大きな存在感が、ワールドカップのメンバー入りを保証するわけではない。ここからの競争はさらに激しい。そのためにも、最初の一歩となる最終予選のラスト、3月29日のベトナム戦が重要になってくる。すでにワールドカップ出場は決めたが、「消化試合」にするつもりはない。
「次のベトナム戦もそうですが、毎試合毎試合が勝負です。その結果がA代表につながるので、先のことを考えず目の前に集中して頑張るだけです」
大きな自信と確かな謙虚と。自身初のワールドカップ出場をかけて、早くも次なる戦いが始まっている。