カタール・ワールドカップ出場を決める大一番がやってくる。3月24日にシドニーで行われるのが、アジア最終予選第9戦のオーストラリア戦。日本はこの試合で勝てば本大会出場決定だ。5試合連続ゴールがかかるエースの伊東純也は、落ち着き払って決戦を前に語る。

上写真=伊東純也は決戦直前でも落ち着いている。「リラックスする時間はリラックスして、あとはよく寝ることですね​​」(写真提供◎JFA)

「いま自分がそこに立てるチャンスがある」

 いまや日本のエースである。伊東純也は3月24日のオーストラリア戦を前に、二つの大仕事を成し遂げる準備をしている。

 一つはもちろん、ワールドカップ本大会への出場だ。2位の日本は3位のオーストラリアに勝てば、そこで決定。引き分けても残り1試合で勝ち点3差で、優位だ。

「ワールドカップを意識し始めたのは最近で、そこまでは本当に見ているだけだったんですけど、いま自分がそこに立てるチャンスがあるところにいるので、頑張りたいと思います」

 大一番を前に構えはどっしりだが、もう一つは、ワールドカップ最終予選では最長となる5試合連続ゴールの記録達成だ。

「4戦連続のときも取れると思っていなかったですし、チャンスがあれば狙いたいですけど、特にそこについてのこだわりはないですね。チームが勝てればいい」

 勝利優先はもちろんだが、伊東が5戦連続ゴールが生みだせば、チームが大きく白星に近づくことになる。

「まずは勝つことしか考えていないですし、ゴールやアシストの部分は自分の役割だと思います」

 気になるのは、コンビネーションを深めてきたセンターフォワードの大迫勇也、右サイドバックの酒井宏樹が揃って負傷で辞退していること。

「残念ですけど、ほかにも力がある選手が多いので、まだ誰が出るかわからないですし練習で確認すると思いますけど、コミュニケーションを取ってできればいいと思います」

 動じないことも、その圧巻のスピードと並んで伊東の大きな魅力である。酒井の代わりに山根視来が入るとすれば、すでに最終予選でともにプレーしているが、FWではまだともにプレーしたことのない林大地、上田綺世の東京オリンピック世代が選出されている。

「特徴は違うと思いますけど、クロスを上げたいタイミングでどこに入ってきてほしいかは伝えられたらいいと思います。あとは、持ち味を生かしてあげられるようにできればと」

 若手をうまく乗せるのも、エースの仕事だ。そして、やはりそのスピードを生かすことも。

「オーストラリアはフィジカルが強くて前への推進力があるので、そこで負けないのももちろんですけど、相手の背後を突いていければいいと思います」

 4-3-3の右ウイングは特徴が出しやすいと歓迎だ。負ければ終わりのオーストラリアが力を込めて前に出てくればくるほど、その裏側には伊東のための「おいしいスペース」ができてくる。

 そこを突けば、5戦連発も、ワールドカップ出場権もきっとその手の中に。