上写真=オンラインで取材に応じる上田綺世(写真◎スクリーンショット)
自分にできない選択肢は試合中に選べない
「まずはコンディションを整えていいパフォーマンスをする準備を整えたいと思っています」
大迫勇也の不在でかかる期待は大きいが、上田は自分の力を発揮することに集中していた。「1点が重い試合だと思いますし、僕はFWなので、得点はどん欲に狙っていきながらもチームが求めることだったり、バランスよくプレーする必要だと思います」。もちろんオーストラリア戦が重要な試合だと分かったうえで、できることをやり抜く覚悟でいる。
今季のリーグでは開幕5試合ですでに3ゴールを記録。もとより抜群の動き出しやシュート技術の高さに定評はあるが、目を引くのがシュートレンジの広さとミドルシュートの威力だ。開幕のG大阪戦では後方から角度を作ってボールを呼び込み、ボックス右に進入すると角度の浅い場所から逆サイドのネットに突き刺した。そして湘南戦ではボックス外から同点に追いつく強烈なミドルシュートを決めている。
「もともとシュートレンジの長さと広さは武器だと思っていますし、動き出しも含めて色んなバリエーションでゴールを取れるようにという意識で日ごろからトレーニングしているので、その一部が最近よく出るようになったのかなと思います」
「自分にできない選択肢は試合中に選べない」との思いから、「幅広い選択肢」を持つことを求めてきたと上田は言う。「1本のシュートに対してどのくらいアプローチの仕方を持っているか。それが引き出しだし、そこを引き上げる、広げることが大事だと思っています」。球種やボールへの当て方のニュアンスが違えば「違うシュートになる」。磨き続けてきたシュート技術が今、さらに上田を輝かせているようだ。
前回、最終予選に招集されたのは昨年11月のアウェー2連戦だった。しかし、いずれもベンチ外。今回も前回同様に招集から試合まで時間のない中で自分をアピールすることが求められるが、このわずか4カ月の間にも、上田は日進月歩で進化してきたと映る。「短い時間でパフォーマンスをしなければいけない、自分の武器や持ち味を見せなければいけないのは、準備期間があろうがなかろうが、僕の立場上、変わらない部分だと思うし、そこが一つトライだと思う」と、本人も強い思いをもって今回の代表活動に臨んでいる。
「その短い時間の中で動き出しとかシュートもそうだし、自分を使いたいと思わせるようなパフォーマンスをしなければいけない。それはやっぱり求められていることを全うすることもそうだし、プラスアルファをどこかで見せなければいけないと思います」
上田は「使いたいと思わせる」パフォーマンスをトレーニングで示し、オーストラリア戦でピッチに立つことができるか。そして日本に勝利をもたらすことができるか。決戦は3日後の24日。日本時間18時10分にキックオフとなる。