日本サッカー協会(JFA)は15日、臨時理事会を開催し、東京・文京区にある「JFAハウス」を売却することを発表した。100億円以上の売買契約を結ぶ方向で交渉中とし、今後、約1年をめどに日本サッカーの『拠点』を移転することになった。今回の決定は赤字の補填ではなく、コロナ禍で職員の出社率が下がり、資産の有効活用を意図したものとしている。

上写真=東京・文京区にあるJFAハウス(写真◎Getty Images)

コロナ禍で職員の出社率が19・5%

 臨時理事会後のブリーフィングにおいて、JFAの須原清貴専務理事が「JFAハウスの売却」について決議されたことを報告した。「三井不動産レジデンシャル株式会社と売買契約を結ぶ」とし、売却金額については守秘義務があるために非公開としたものの、「100億円を超える売買契約」になるとのと見通しを語った。

 JFAハウス(日本サッカー協会ビル)は地上11階、地下3階の自社ビルで地下には展示場「JFAミュージアム」がある、文字通り日本サッカーのシンボル的な存在とも言えるだろう。今回、売却するという判断に至った理由について須原専務理事は、「コロナ禍でもあり、過去1年間のJFA職員の平均出社率が19・5%に留まり、もっとも出勤率が高かったときでも26・7%でした。オフィスの75%から80%が活用されおらず、他のテナントも同様でした。修繕費は今後8年間で14億円を超えると見込まれるため、効率的な資産活用を考えました」と説明。

 JFAハウス内に2フロアあったJリーグのオフィスもコロナ禍に、1フロアに縮小。テレワークの導入など新しい働き方を進める社会状況を鑑みたうえで、今回の売却は決定された。「公益性のあるわれわれの責務として、与えられた資産をどのように社会に活用していくか」を考えることが必要と須原専務理事。「資産を効率的に、サッカーの発展と普及に使う使命がある」とし、「時代に合わないのであれば変えることが必要」であると強調した。

 今後は約1年という期間をめどにオフィスの移転を進めていく方針で、千葉の幕張にあるJFA夢フィールドと連携しつつ、移転場所を検討するとのこと。また、現在JFAハウス地下にある『JFAミュージアム』についても、より多くの人にこれまで以上に親しんでもらえる施設にしていきたいとして、場所や活用法についても検討していくという。